折れ曲がりストレート
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たのかティアに仕えると言い出した黒髪の彼には、こちらから触れる事も出来る。だが、ラクサスは別だ。触れられたくない大勢のうちの一人でしかない。
「……一応聞いてあげる。私に声をかけた理由は何」
苛立ちを隠さないまま問う。
問われたラクサスは、上がった口角をそのままに言った。
「オレがマスターになって、この腑抜けたギルドを変える」
……目を、見開いた。
「弱え奴を排除し、歯向かう奴を追い出して、最強のギルドを作る」
入ってくる言葉に、理解が追い付かない。
「お前だって、今のギルドのままでいいなんざ思ってねえだろ?このままじゃ今以上になめられたギルドになる!…だから、その前にギルドを一から作り直す。誰にもなめられねえ、最強のギルドをだ!」
ぐるぐると脳内を、ラクサスの言葉が渦巻いて。
真っ白になった思考を、少しずつ色付けて。
「歴代最年少のS級昇格、鉄壁破る矛の淑女、ギルド最強の女問題児。――――ティア=T=カトレーン、お前は、オレの妖精の尻尾にいるべき魔導士だ」
ティアの頭に、真っ先に浮かんだのは。
――――くだらない。
――――くだらないくだらないくだらない!
――――今の妖精の尻尾を変える必要なんて、どこにもない!
「!」
思考と行動が同時に動いていた。それにティアが気付いたのは、右手がラクサスの頬を強く打った直後だった。
ラクサスが目を見開く。ティアも自分が取った行動の突然さに僅かに息を詰め、けれどすぐに唇を噛みしめた。上げた手を降ろしながら、自分でもぞっとするほど冷めた声で言う。
「…私は、今のギルドに満足してるわ。いちいち距離は近いし喧しいけど、アンタが作るギルドに比べれば何倍だってマシでしょうよ」
彼が作るギルドがどんなものか、詳細なんて解らない。もしかしたら、今より過ごしやすい環境になるのかもしれない。
けれど、弱者を排除するという考えがまず気に入らなかった。彼にとっての強者の部類に自分がいるのも腹立たしいし、こんな奴と考えが同じだろうと思われているのも気に食わない。最強という一点しか目指せないその姿勢も、最強とは力でねじ伏せるものを指すと思っているその思考も、何もかもに腹が立って仕方がない。
「私達を馬鹿にする奴がいるなら笑わせておけばいい、舐めてかかる奴がいるなら知った事かと無視してやればいい。そんなのにいちいち突っかかって苛つくなんて、アンタが排除したがってる弱い奴と同義じゃない」
投げた言葉にラクサスがさっと顔色を変えるが、止める気なんてない。
「現状が許せないってアンタは言う
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