第三十話 幸せの影その四
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その青い海を見てだ、優花は優子にこんなことを言った。
「あの海で」
「泳ぎたいとか?」
「いえ、水泳はね」
優子の問いにだ、優花は少し苦笑いになって返した。
「運動自体が得意じゃないから」
「だから水泳もなのね」
「あまりしたくないし、それに」
「それに?」
「泳ぐ時は水着になるわよね」
その苦笑いのまま言うのだった。
「だから」
「水着着るのが嫌なの」
「どうもね」
それでというのだ。
「抵抗があるわ、女の子の水着よね」
「勿論ね。胸を隠さないといけないから」
「だからよね」
ここで自分の胸を見た優花だった、その胸は今は膨らみがある。
「女の子の水着を着ないといけないわね」
「そのことはね」
「それがね」
「嫌なのね」
「抵抗があるわ」
実際にというのだ。
「私は」
「じゃあ海水浴はしないのね」
「誰かに誘われても」
仲良くなってきているクラスメイト達にだ。
「そうしてもらってもね」
「断るの?」
「そうすると思うわ」
「そうなのね」
「お付き合いがあっても」
「海水浴とかは」
「水着になることはね」
今度は顔を赤くさせて言った優花だった。
「どうにも」
「けれど学校の授業で水泳もあるでしょ」
「ええ、プールもあるわ」
「それでもなのね」
「あまりね」
視線を泳がせてだ、優花は答えた。
「着たくないわ」
「そうなのね」
「どうもね、下着だって」
今服の下に着ているそれもというのだ。
「実はね」
「恥ずかしいのね」
「まだね」
ここでも顔を赤くさせていた。
「男の子の時は楽だったけれど」
「トランクスとかボクサーパンツで」
「気楽だったのに」
「ブラとかショーツはなの」
「何か動きにくい感じがするの」
身に着けてみてというのだ。
「不思議とね、それに高いし」
「女の子の下着は高いわよ」
「それに色やデザインもね」
「色々とあるでしょ」
「あんまりにも多いから困るわ」
下着を選ぶこともというのだ。
「どうもね、ただ」
「ただ?」
「派手なデザインや色の下着は着けてないわ」
「所謂女子高生らしい」
「そんな下着ばかりよ」
「色は白や黄色ね」
「あとライトブルーね」
そうした色のというのだ。
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