第三十話 幸せの影その三
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「むしろね」
「無頼はよくないでしょ」
「時として徹底的に、それで刹那的なまでにね」
「飲むのもいいのね」
「そう、無頼にね」
「だからいいのね」
「時々そうした飲み方もいいって思うから」
だからと言うのだった。
「朝まで飲むのもいいって思うのよ」
「私はそうした飲み方は」
朝まで飲むそれはというのだ、生真面目な優花は。
「よくないって思うから」
「夜はしっかり寝なさいっていうのね」
「そう思うから」
実際にというのだ。
「健康第一だから」
「飲む場合でも」
「そう思うから。朝まで飲むことは」
首を傾げさせつつだ、優花は優子に話した。
「勧められないしするつもりもないわ」
「そう言われると私もね」
「姉さんもなのね」
「実際にそこまで飲んだことはないわ」
「姉さんも夜はちゃんと寝る方よね」
「何だかんだでね」
実際はというのだ。
「朝まで飲むことはしないわね、一気にどんどん飲んで」
「それで飲み終わったら寝るわね」
「そうよね」
「飲む勢いが速いから」
「私にしてもそうね」
「昨日のワインも一気に三本空けてね」
そうしてというのだ。
「歯を磨いて寝たし」
「だからね」
「実際朝まではないわね」
「お店でもそうね」
優子は自分で言った。
「私じっくり時間をかけて飲まないで」
「一時間位でよね」
「飲んでしまうわ」
飲みたいだけの量をというのだ。
「はしごもしないし」
「飲んでそして」
「終わりよ」
その店でというのだ。
「そうした飲み方よ」
「だから朝までは」
「ないわね」
そこまで飲むことはというのだ。
「いつも」
「けれど佐世保だと」
「朝早く起きるでしょ」
そうすればというのだ。
「居酒屋さんから出て来る若い子達がいるの」
「若い子なんだ」
「まだ二十代前半のね」
優子から見れば年下のだ。
「そうした子達が出て来たりするのよ」
「本当に朝まで飲んで」
「それで朝帰りね」
「何か凄いね」
「優花はそうしたことしないわよね」
「いつもね、ただ神戸を出る時は」
この時のことをだ、優花は思い出して言ったのだった。
「私達結構遅くまで飲んだわね」
「そういえばそうだったわね」
「あの時はね」
実際にとだ、優子も答えた。
「そうだったわね」
「そうよね」
「ええ、けれどあの時は特別で」
「普段の私達はね」
「そうした飲み方はしないわね」
「朝まではね」
そこまで飲むことはとだ、二人で話していた。そのうえで青空の下の長崎の坂道を歩いていた。その先には長崎の青い海が見えている。
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