7. それは神様だった 〜電〜
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た……」
確かに大淀さんの言う通りだ……出処不明のどら焼きなら、食べる前にちゃんと司令官さんに確認を取ればよかった……そうしていれば、こんなことにはならなかった……。
「あ、あのー……司令官さん。ひとつ、質問いいのです?」
「ん? どうした電?」
「お客さんに渡すどら焼き無くなっちゃって……どうするのです?」
「鳳翔に急遽お茶請けというかお菓子みたいなのを作ってもらってる。持ち帰りはできないけど、なんとかなるだろう」
「間に合うのです……?」
「鳳翔だからその心配はいらんと思うよ」
私達の愚行は鳳翔さんにまで飛び火してしまったみたいだ。あとで鳳翔さんには誠心誠意謝っておこう。
「提督」
「ん? どうした集積地?」
「てことは残りのどら焼きはどうするんだ?」
「……まさか『いらないなら食わせろ』とか言うつもりじゃないだろうな?」
「そ、そのとおりだが……」
集積地さぁぁあああああん!!! 余計なことを言っちゃダメなのですぅぅううううう!!?
「もうしこたま食べたでしょ? 少なくともお前たちにはやらん」
「しょぼーん……」
しかし、確かに少々気になる。今残り2つのどら焼きは皿に盛られ司令官さんの机の上に置かれている。距離が離れていても漂ってくる、どら焼きの甘い香り。さっきから私の鼻をくすぐってきて仕方がない。
「まぁそれは置いといて……真面目な話、この残りのどら焼きはどうします?」
「1個は間宮のチケットと一緒に鳳翔にあげようかなと。急遽お茶請け作ってくれたお礼として」
「なるほど」
「最後の1個は大淀が食べちゃっていいよ」
「よろしいんですか?」
「他のやつに意味もなくあげたらえこひいきになるしね。このどら焼きの存在を知ってるのは、あとは大淀だけだから」
いつもの死んだ魚の眼差しでそういう司令官さんに対し、大淀さんは困惑というか困った顔というか……でもどこかうれしそうというか……かなり複雑な表情をしていた。心持ちほっぺたが赤くなっているから、ひょっとすると大淀さんも食べたくて仕方なかったのかもしれない。
「いいから食べちゃってよ。このことは他のみんなには秘密だ。その口止め料ってことで」
「で、では……いただきます」
「どうぞ」
私や天龍さんとは異なり、両手で上品にどら焼きを持った大淀さんは、そのまま口を開いてどら焼きを口に運び……
「はむっ……」
どら焼きを一口かじっていた。
「んー……」
「……」
「……んっ!!」
あ、大淀さんのメガネが光った。
「提督……これは……ッ!」
「美味しいでしょ? をだやのどら焼き」
司令官さんの問いに答えることなく、大淀さんはメガネを輝かせたまましずしずと立ち上がり、そ
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