試合15分前
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それじゃまるで俺が……!!
『あんの野郎…おい、幹雄!!更に殴りに行くからな……!!』
井上がかざす光源に照らされて殺気を帯びた目が光る。あの日々の恐怖が我知らず背中辺りを這いあがって来た。
『心温まるコメントをありがとうございます♪』
『馬鹿にしてんのかこの野郎!!待ちやがれ肉塊にしてくれる!!!』
画面が大きくブレて映像が止まった。こ、これ殺されるわ俺…次会った時が俺の命日だわ…
「苦労しましたよー!」
「おっ…お前…!!」
過呼吸起こしかけている俺の前で井上は、更に親戚とか友達の動画を流し続けた。親父のキレッぷりがMAXだが他の動画の親戚友達も軒並み仏頂面だ。
『…非常識だろ』
『…お前さぁ…』
『…そういう人とは思わなかったです』
信じらんないほど敵作ってる―――!!俺、何も知らずに寝てただけなのに―――!!!
『…俺も今日試合なんですけど…嫌がらせっすか…』
こっ後輩―――!!!ジムの後輩―――!!!こいつ今日試合の選手を夜中の3時に叩き起こしてる―――!!!
もう心臓バクバクいってるしとてもじゃないけど試合できる精神状態じゃないし!!だっだれか助けて!!!
「皆さん心温まるコメントですねー」
誰の心が温まってんだよ!!さっきから冷や汗止まんねぇよ!!!
「でも驚くのはまだ早い!本日のハイライトは何と!!!」
凄い見慣れたマンションのドアが映されている。…これ、おい、ちょっとまて。
『彼女さんのお宅、突撃でーっす!!』
「何してくれてんだこの野郎!!」
「え?」
「あいつ今日仕事なんだぞ!?叩き起こしたのか!?」
「……土曜日ですが?」
「休日出勤なんだよ!!だから今日の試合応援来れないとLINEが」
「えっ、でも起きてましたよ?」
―――え?
『タカシ♪塩キャラメル味あった?』
井上がチャイムを鳴らすと、ドアが薄く開いてあいつが顔を出した。
『こんばんはー僕毒島選手のマネージャー代理の』
云い終わる前にドアは閉められた。…誰?タカシ誰!?
『あっれー?コメントはなしー?』
井上が左右にふらふら揺れながら呟いていると、その背中に影が差した。
『おぅ、俺の女に何しとんじゃぃ』
タカシだー!!コンビニ袋にハーゲンダッツ覗かせてるこの男絶対タカシだー!!!
「このあと、この乱暴な男に追い回されてねぇー、コメントは頂けませんでした。しかしふふふ、彼女さん、セクシーなスケスケのネグリジェを」
――この後の記憶は正直、ない。
ここからは人に聞いた話だ。俺の名がコールされると同時に、まず逃げ惑う井上、そして荒れ狂う俺がパイプ椅子ぶん回しながら入場してきたらしい。リング下に追い詰められた井上にパイプ椅子
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