6. 一航戦とビッグセブン(後) 〜赤城〜
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ち着きなさいよ」
提督に静かにそう言われ、私の右腕がピクピクと動き続けていたことに気付いた。知らぬ間に右腕に力が入っていたようだ。私の無意識はすでにロドニーさんに向けて矢を引き絞っていたらしい。
「……失礼しました」
「いいから肩を一端上げてストンと落としてみなさい。リラックスするから」
意識して深呼吸し、肩をぐるぐると回して身体をリラックスさせる。何度か肩を持ち上げてストンと落とし無理矢理に全身の力を抜いて、体中の臨戦態勢を解いた。
「提督」
「はいはい?」
「中将はいつもあんな感じなんですか? 正直申し上げますと不愉快この上なかったのですが」
「まぁ……あんな感じだねぇ。赤城がイライラして大淀がブチギレたのは予想外だったけど」
そういい提督は苦笑いを浮かべながら帽子を脱ぎ、頭をポリポリと掻いていた。この人もよく言う。大淀さんはともかく、最後に私を煽ってきたのは他ならぬ提督だったのに。
「提督が余計なことを言わなければ、私とロドニーさんは一触即発にはならなかったんですよ?」
「あれはね? 二人をワザとけしかけてドンパチする寸前にもってけば、それで中将が尻込みしちゃうだろうっていう俺の計算なのよ?」
「最初にロドニーさんに指示を出したのは中将なのに?」
「あの人、なんだかんだで小心者ぽいからね。ここで派手にやらかして、最新鋭の艦娘に傷でもつけたら大変だとか思ったんじゃない?」
ロドニーさんは本気だったようだが……あの相手を刺す眼差し。そして私への挑発。彼女はあの時、本気で私と戦おうとしていた。物腰は静かなようだが、本質的には相当に好戦的な性格のようだ。強者には挑まずにいられない……それも敵味方の区別なく……そんな感じの人のようにも見える。うちの天龍さんや、妙高型の足柄さんをもっと凶暴にした感じと形容すればいいだろうか。物静かで礼儀正しいのは外見だけだろう。
「ともあれ何事もなくてよかった。あの二人が鎮守府から出たのを確認したら、電と集積地に『もう大丈夫だよー』って伝えてちょうだい」
「わかりました。……提督は大丈夫なんですか?」
「なにが? ほっぺた?」
とぼけたことを……確かに殴られた怪我も心配だが、今回の中将を見る限り、提督の立場はあまり良いとは言えない状況のはずだ。そしてそのことは提督も分かっているはずだ。
「いえ、立場上マズいのでは……」
「いまさらだよいまさら。中将から俺への信頼なんてとっくの昔になくなってるよ。なぁ大淀?」
いつの間にか薬箱の用意をしていた大淀さんは提督からそう声をかけられ、返答に困った人特有の困惑した苦笑いを見せていた。こういう『はい』とも『いいえ』とも言えない質問には、いくら聡明な大淀さんも困るだろうに。かといって私に振られても困
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