6. 一航戦とビッグセブン(後) 〜赤城〜
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提督の言葉を受けロドニーさんはそう返答し、わざわざ私に視線を刺しながらニヤリと笑った。これは私への挑発か。彼女自身にそのつもりはないかもしれないが、私の戦闘意欲はそう受け取った。いけない。ここまで挑発されると闘争心がうずく。彼女を潰せと騒ぎ立てる心を鎮められない。
「なあ赤城?」
「?」
「お前も戦う時は海上で敵を相手にしたいよなぁ? こんな陸の上で、仲間を相手に素手じゃなくてさ」
この人もこの人だ。ここに来て私を煽ってくるとは思ってなかった。私の身体がゾクッと震える。口角が上がるのを抑えきれない。私の周囲の温度がさらに下がり、全身がロドニーさんとの戦いに備え始めたことを感じた。
「そうですね。この場でビッグセブンを組み伏せるよりは、海上で弓を得物に存分に戦いたいものです」
私はロドニーさんに自分の視線を刺しながらそう言い放った。提督にではなく、ロドニーさんに言った。これはロドニーさんの挑発に対する私の返答だ。あなたがそのつもりなら私も容赦しない。ビッグセブンか……一航戦の相手として申し分なし。そうして私とロドニーさんの、無意識化での攻防が始まる。
「……ロドニー」
「……ハッ」
「帰るぞ」
執務室の空気の異変に感づいたのか……はたまた口を割らない提督に業を煮やしたのかは定かではない。だが提督を睨み続けていた中将は一度大きく息を吐き、怒気を抜いてロドニーさんを制止した。剣の柄から左手を離し、再び姿勢を正して目を閉じるロドニーさんが小さく舌打ちしていたのを、私は見逃さなかった。
「……いずれその椅子から引きずり下ろしてやる」
「いやははは……出世とは無縁な人生ゆえ、そのようなこともあるかもしれませんなぁ」
「その時は安心しろ。ここの奴らは私が面倒を見てやる」
「その方が戦果があがるかもしれませんなぁあははははははは」
「……フンッ」
縁起でもないことを口にしながら苦笑いを浮かべる提督を尻目に、中将は必要以上に軍靴の音を鳴らして部屋を出た。かなり乱暴にドアを開け放った為、壁にドアがガツンと当たる。ヒビが入ったドアが壊れてしまわないか心配になったが、特に問題はないようだ。
「いずれ見せてもらうぞ。一航戦の実力をな」
中将さんに続いてロドニーさんが部屋から退出する際、すれ違いざまに私にそう告げていった。提督や大淀さんの耳に入るか入らないかの小さな声であったが、私の耳にはしっかりと届いた。やはり彼女は私を挑発していた。
「その時はビッグセブンの名に恥じないご健闘をお願いしますね」
「無論だ」
私の返答にニヤリと笑みをこぼしながらそう答えた彼女は、そのまま静かにドアを閉じた。パタンという音が鳴り、執務室にいつもの静寂が訪れた。
「赤城」
「……はい?」
「落
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