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テキはトモダチ
6. 一航戦とビッグセブン(後) 〜赤城〜
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魚の眼差しだ。

「……」
「……素直に吐いたらどうだ? 調べはもうついてる」
「中将閣下にはかないませんなぁ……その鎮守府はうちです」

 中将に言い寄られた提督は、思いの外あっさりと集積地さんの保護を認めた。もう少し粘るかと思っていたが……だが中将に威圧され仕方なく……という雰囲気ではない。

「……なぜそのようなことをしでかした」
「人道的観点から。戦時国際法では捕虜はキチンと保護しなければならんでしょ?」
「それは人間同士の戦争の場合だ! この戦闘は艦娘と深海棲艦の制海権を賭けた戦いだぞ!?」
「こっちの艦娘もあちらさんサイドも、同じく人間の姿をしてますなぁ。人間も艦娘も深海棲艦もそう変わらんでしょう」
「だとしてもそんなもんを律儀に守る必要はないッ」
「『赤信号、みんなで渡れば怖くない』を国家レベルで行くわけですか? いやぁー、さすがは歴戦の古強者であらせられる中将閣下ですなぁー。戦場の酸いも甘いも体験してきた方がおっしゃるお言葉には、含蓄がございます」
「なめとるのか貴様ッ!!」

 不意に鳴り響くバンという音。中将が提督の机に自身の拳を打ち付けた音だ。私から見て中将は、提督の鼻先をかすめるように拳を机に打ち付けていた。にもかかわらず、提督はまったく微動だにせず、涼しい顔で中将を見ている。

「……相手は敵だぞ」
「今のところは……ですが」
「敵である以上、勝たねばならん」
「孫子曰く『戦わずに勝つのがチョーサイコー☆』らしいですなぁ」
「いずれは殲滅させる必要がある相手だ」
「『相手を全滅させるだなんてサイっテー☆』とも言っているようで」

 平気でペラペラと軽口を叩いている提督に対し、頭の血管が切れる音が聞こえてくるのではないかと思えるほどに顔を真っ赤にしてプルプルと震えている中将。力を込めた右拳によって、中将の怒りがこれでもかと表現されている。

 先ほど、私は『人を不快にさせる才能は中将の方が上だ』と思っていたが……それは訂正する。先程から提督からは中将のご機嫌をなんとかして損ねてやろうという子供染みた意図しか感じられない。そして本来なら咎めるべきところなのだが……今の私は機嫌が悪いせいか、この提督の暴言の数々を実に清々しく感じている。

「……そいつはどこだ」
「そいつとは?」
「貴様らが匿っている集積地棲姫のことだ!!!」

 再びドカンという音が執務室内に響いた。中将が今度は提督の机を足蹴にしたようだ。だがそれすら、提督は動じない。

「現在は意識不明の重体のため集中治療中です。ゆえに面会謝絶のため、お会いしていただくことは出来ませんなぁ」
「状態なぞ聞いとらんッ……場所を聞いているッ……」
「どうせ会えないのですから居場所など聞いても意味無いことは、聡明な中
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