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テキはトモダチ
5. 一航戦とビッグセブン(前) 〜赤城〜
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お会いしてるのです。すぐ怒鳴り散らすから怖いのです……以前は電も『敵艦を仕留め切れないヘタレ駆逐がッ』て怒鳴られたのです」
「随分感情的な方なんですね……」

 これから鎮守府を訪れるその招かれざる客は、随分といけすかない人物のようだ。確かに電さんは敵艦の撃沈こそないが、だからといってその仲間を『ヘタレ』と言われて平気でいられるほど、私は人のいい女ではない。

「……アカギ」
「はい?」
「ひょっとして、私がここにいるからか?」
「端的に言うとそうだと思います。あなたがここにいることがバレた可能性が高い」
「そうか……敵をここに連れてきた、お前たちの自業自得だな」

 私は集積地さんを諌めようとしたが……

「……」
「……集積地さん」
「大丈夫なのです。集積地さんのせいではないのです」

 その言葉とは裏腹に、彼女の表情はやや沈んでいた。どうやら、自分がここにいることで私達……いや、命の恩人で初めての艦娘の友達といえる電さんに迷惑がかかることを申し訳ないと思っているようだ。

 それは、隣で必死に集積地さんの手を握って励まそうとしている電さんを見れば分かる。彼女は人の機微に敏感で、考えすぎなほどに相手の事を考えてしまう。彼女が必死に集積地さんを励ましているということは、集積地さんはきっと心の中の罪悪感に苛まれているということだ。

 そして集積地さんの手を握る電さんの手もカタカタと震えている。かわいそうに……その中将とやらにかなり怖い目に遭わされたようだ。それでも自分のことよりも集積地さんのことを優先しているのは、優しい彼女らしい。

「……ともあれ、二人とも今日はここから出ないようにしてください。私か提督が迎えに来るまでは、外出しないほうがよいでしょう」
「「わかった」のです」

 ゲームの間抜けなBGMに乗せて、二人は息ピッタリのタイミングで返事をしてくれた。ある意味では非常事態だというのに、その光景がなんだかおかしくて笑ってしまう。ついでに言うと、集積地さんが着ている『しゅうせきち』という名札がついた紺色のジャージがまた妙に彼女にしっくりきていて、それもまた笑いを誘ってくる。こんな状況であるにも関わらず。

「……ぷっ」
「な、何がおかしいんだ?」
「いや特に……ぷっ……服装も……」
「あ、これは室内着として提督が用意してくれたものなのです」
「後もう二枚、抹茶色みたいな色のものと小豆色みたいな色のものもくれた。確かに着てると落ち着くが……あと名札はイナズマが作ってくれた」

 中々絶妙なチョイスだ。提督には後ほどグッジョブ! とサムズアップをしておこう。電さんもその絶妙な名札の作成、ご苦労様でした。さすがです。

 こうしてほんの少しだけ集積地さんとの会話を楽しんだ頃。


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