5. 一航戦とビッグセブン(前) 〜赤城〜
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棲姫さんにこのことを伝えるというのは少々気に入らないが、提督からの命令である以上、私に拒絶する権利はない。それに今は、彼女はこの鎮守府の来賓だ。資材貯蔵庫といういささか妙な場所で暮らしているけど。
「赤城」
「はい?」
「資材ちょろまかしは厳禁だぞ」
「しませんよ……」
まったく……いくら私がよく食べる女だからとはいえ、発言にデリカシーがない。私はこそこそと意地汚く資材をちょろまかすような卑しい女ではない。……でもちょっとお腹すいたかも。
件のお客様が来訪するまでは、とりあえず自由時間ということにしてくれた。電さんと集積地棲姫さんに今日のことを伝えに向かう。
資材貯蔵庫に入る。私の心を否応なしに刺激するボーキサイトにはできるだけ意識を向けず、貯蔵庫の奥から聞こえる電さんと集積地棲姫さんの楽しそうな声の元に向かう。
「集積地さん! いなずま社長にボンビーなすりつけたらダメなのです!」
「はっはっはっ! ボンビーをなすりつけてこその深海棲艦だッ!!」
「ひどいのです! ……あっ……」
「あっ……」
どうやら二人は貧乏神を擦り付け合って遊んでいるらしい。そのまま声のした方へと向かう。
「電さん。集積地さん」
「はいなのです?」
声の発生源に到達する。資材貯蔵庫には、いつの間にかベッド代わりのハンモックとテレビモニター、そして一昔前のゲーム機が置いてあった。いつの間にこんな風に引きこもり上等な部屋へと変貌したのだろうか……よく見たら二人だけじゃなくて、妖精さんも二人いる。妖精さんとも仲良くなっているのか彼女は。
「ああ、いましたね」
「ぉお、アカギか」
「赤城さんも集積地さんと遊びに来たのです? よかったら赤城さんもあかぎ社長になって一緒に集積地さんにボンビーをなすりつけるのです!」
相手のことをまったく疑っていない純真で満面の笑顔を浮かべた電さんは、その笑顔のまま私もゲームに誘ってくれた。出来るなら私もあかぎ社長になって集積地さんにボンビーをなすりつけたいが、今はそんな時間的余裕はない。
「すみません。それはまた今度」
「残念なのです……」
「それよりも、お二人に話があってきました」
「なんだと?」
「はい? お話なのです?」
私の真剣な表情にことの重大さを察したのか、二人はゲームを一時停止し、私の話を聞いてくれた。私は二人にこれから永田町鎮守府の中将が来訪することと、正体不明の艦娘を連れてくることを伝えた。『中将』という単語を出した途端、電さんの顔が青ざめたのが非常に気になる……。
「はわわわわわわわわ……あの中将さんはとても怖いのです……」
「電さんは知ってるんですか?」
「まだ鎮守府に電と司令官さんと大淀さんの三人しかいなかった頃に何度か
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