5. 一航戦とビッグセブン(前) 〜赤城〜
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に気になる話ではある。提督の心当たりの件と共に。
「その心当たりとやら、お伺いしてもよろしいですか?」
「最近、ドイツを皮切りに海外でも艦娘の建造が始まったのは知ってる?」
「ああ、ドイツやイタリアの子たちですか。グラーフ・ツェッペリンさんやアクィラさんなんかとはお会いしてみたいですね」
「ああ。……で、今まで艦娘の建造に関しては元同盟国側が主導だったんだが、今年あたりから元連合国側でもチラホラと建造報告が上がっててな。アメリカのアイオワやイギリスのウォースパイトなんかが研修と称して日本の鎮守府を訪れ、戦力となっているようだ」
聞いたことはある。でもそれと今日の中将来訪の話と何か関係があるのだろうか。仮に今日、中将と共に訪れる人が海外の、それも元連合国側で建造された艦娘だとしても、何か問題があるのだろうか。
「つい最近だが、イギリスでウォースパイトに続く艦娘の建造報告があった。戦艦だそうだ」
「深海棲艦の脅威はイギリスにまで及んでるということですかね」
「それはどうかは知らんが……その新しいイギリスの子が研修のために来日した日と、永田町鎮守府に新しい戦艦の艦娘が登録された日付が一致している」
「はぁ……つまり、永田町には今、最新のイギリスの艦娘が所属していると」
「きっとね。まだ『かもしれない』レベルの話だけど」
あくまで偶然。憶測の域を出ていないということのようだ。確かに最新鋭の艦娘の着任情報であれば、機密扱いになってもおかしくない話ではあるが……
「それに加えて、ノムラ中将が何をするつもりでわざわざ自分とこの艦娘を連れてくる気になったのかが気になる。ノムラ中将は苛烈な性格だ。赤城は知らんだろうが……あの人、ちょくちょくうちに来ては怒鳴り散らして帰るんだよね」
「そうなんですか? 初耳です」
「だってお前たちだって、怒鳴り散らすおっさんなんか相手にしたくないでしょ?」
「まぁ確かに……」
「俺だって相手したくないもん。そんなおっさんの相手をお前たちにはさせられんよ」
そう言って苦笑いを浮かべる提督を見て、私は数日前の大淀さんの言葉を思い出していた。
―― あの人が私たちをとても大切にしてくれているのは本当ですよ
自然と大淀さんに目が行く。彼女は私の視線に気づくと、ニコッと微笑んでくれた。細かいことだが、提督は中将の怒号や非難から私たちを守ってくれていたということか。別にいいのに。
「……話を戻そう。ただでさえそんなにうるさい中将が、今回は火にかけたやかんみたいに頭から蒸気をピーピー出しているかもしれんのだ。何をしでかすつもりなのかさっぱり分からん」
「そんなに怒り心頭なんですか……」
単なる来訪であれば、たとえそれが誰であれこちらに名前や艦種を伝えてきても良い話だ
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