5. 一航戦とビッグセブン(前) 〜赤城〜
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ぞ」
「うん」
訂正する。確かに提督は死んだ魚のような眼差しをしていたが……少しだけ真剣味を帯びているように感じた。
「天龍との対空演習はどお?」
「提督は体のいい人払いのつもりだったんでしょうが……あれから天龍さんは妙に燃えてますよ? おかげで天龍さんは対空戦の腕をメキメキと伸ばしています」
「一航戦相手に実戦さながらの演習だもんなぁ。そら腕も上がるだろう」
「時々鳳翔さんも参加していますからね。彼女の成長が楽しみです」
「うんうん」
提督はこんな話をするために私を呼んだのではないことは分かる。速やかに本題に入ってもらいたいのだが……何か話しづらいことなのだろうか。
「提督」
「はいはい?」
「何か話し辛いことなのでしょうか? でなければ単刀直入にお願いします」
「別に話し辛いわけじゃなくて、本当に対空演習の成果を聞きたかっただけなんだけどね」
「ぁあ、それは失礼しました」
「いや。確かに前置きとしては長かったわな」
そういい、提督は一枚の紙を机の上に広げた。広げたといっても紙のサイズは通常の書類とほぼ同じサイズ。何か文字がびっしりと書かれてあり、遠目から見ても、それが司令部からの伝達の類であることが見て取れた。
「命令書ですか?」
「というよりは永田町鎮守府のノムラ中将からの通達だなぁ」
「はぁ。通達ですか」
「うん。集積地の件がバレたようだな。ひどくおかんむりな内容だ」
それ見たことかというセリフが喉まで出かかった。深海棲艦の最重要人物を司令部に内緒で匿い続けることなぞ不可能だ。司令部の耳に入るのも時間の問題だっただろうに。こうなることはわかっていたはずだ。
「ついては、ノムラ中将がうちに視察に来るそうだ」
「はぁ。視察ですか」
「うん。んで、赤城もその場に同席して欲しいなと」
永田町鎮守府といえば、この地区の鎮守府すべてを統括しているところだ。ここいらの鎮守府をまとめ上げ、合同作戦の際にはこの地区の総合司令部を兼ねる場所になる。
また、永田町鎮守府自体も屈強な艦娘が多数在籍している、この近隣では最強の鎮守府と言われているところだ。中将の指揮能力も高い。うちの鎮守府とはえらい違いだ。
恐らくだが、集積地棲姫を匿っているという噂を耳にした永田町鎮守府の中将が、事の真相を探るためにうちに顔を出すのではないだろうか。なるほど……これは集積地棲姫を匿っているうちのピンチだ。
「結構な苦境に立たされているというわけですか?」
「苦境ってほどではないんだけどね。まぁおえらいさんだし、来る以上は丁重におもてなしをして、気持ちよーく永田町に帰っていただこうかと」
「そのおもてなしになぜ私が必要なのでしょうか?」
「いや、なんかな。嫌な予感がするのよ
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