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ラインハルトを守ります!チート共には負けません!!
第六十五話 カストロプ星系に侵攻します。
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々たる声は不思議なことに恐慌をきたしかけていた兵士たちの心を恐怖から興奮へと一瞬で塗り替えてしまったのである。そして彼は一瞬で全軍各艦隊のそれぞれの敵に対する有効な砲撃集中個所を読み取ったのだった。
「正面の軍はα1145地点を、左翼はα1729地点を集中攻撃だ!!そしてわが軍はα3871地点一点に集中攻撃を行う!!主砲斉射用意!!!」
ラインハルトの右腕が高々と掲げられた。ヒルデスハイム伯爵ら貴族連中も狂奔する退却をいつの間にかやめて静かになっている。全軍がラインハルトのその右腕に視線を集中しているかのようだった。
「ファイエル!!」
ラインハルトの万感の思いがこもった右腕が勢いよく振り下ろされた。その結果はすぐに表れる。中央、左翼、そしてラインハルト艦隊の放った一撃は一瞬でブリュッヘル伯爵艦隊の前衛を鉄くずに変え、その余波を存分に中央本隊に叩き付けたのである。
「ビッテンフェルト。」
ラインハルトが麾下の一分艦隊指揮官を呼び寄せた。
『ハッ!!』
オレンジ色の髪のたくましく精悍な顔つきの若い指揮官がディスプレイ上に現れる。
「卿の麾下の高速艦隊をもって、敵左翼下方後方より突入し、もって敵を分断せしめよ。卿の艦隊の雄姿を存分に見せてもらおうか。」
ラインハルトの言葉にビッテンフェルトの顔に不敵な面魂が宿った。
『御意!!』
通信が切られたか切られないかというときに、もうビッテンフェルトの部隊は敵の側面後方に食らいつき、まるでドリルのように穴をあけていった。ものすごい機動性と破壊力である。
「ビッテンフェルトの曲者が動き出したぞ。」
ラインハルトの本隊前方にあって、ビッテンフェルトの突撃の支援行動に麾下艦隊を移行させながら、ミッターマイヤーが苦笑まじりに麾下のバイエルラインに顔を向けた。
「流石は『猛る猛虎』の異名を持つ方ですな。あのような攻勢の前に立ちふさがることのできる人間はそう多くはありますまい。」
「うむ。」
先ほど曲者と言ったが、ミッターマイヤーもビッテンフェルトの尋常ならぬ攻勢を認めている人間の一人であった。
「閣下、ロイエンタール提督より、通信が入っております。」
「よし、出よう。」
ミッターマイヤーが艦橋ディスプレイに顔を向けると、いつもの僚友の顔が出現していた。
『相変わらずビッテンフェルトの奴は遠慮というものを知らん男だな。おかげでこちらの出番がなくなってしまう。』
「そう言うな。支援行動もまた重要な作戦の一環だ。俺たちが掩護することでビッテンフェルトの攻勢に勢いが出るのであれば、それでよいではないか。」
『まったくだ。舞台の俳優たるもの、裏方の働きがあって始めて存分にスポットライトを浴びる立ち位置に来ることができるというものだからな。』
僚友の皮肉交じりに苦笑したミッターマイヤーだった。

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