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フロンティアを駆け抜けて
所有権争い
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ロスも眠りには落ちなかった。

「ワンパターンなんだよ……同じ手が何度も通用すると思った?」
「ふん……なら容赦はしません。出てきなさい、ランクルス!」

 白い赤子を緑色のスライムで包んだようなポケモン、ランクルスが現れる。アマノは早速指示を出した。

「ジェム、ランクルス。サイコキネシス!」
「……サイコキネシス」

 二人が同じ指示を出すと、ランクルスがラティアスの脳波を乗っ取り、二体分の威力を合わせた強力な念動力の塊を作る。そしてそれを無色透明の圧力として、神秘のベールを作る厄介なミロカロスにぶつけようとした。

「メタグロス、光の壁。ミロカロス……ドラゴンテール」
「カラマネロ、リフレクター!」

 お互いが攻撃を防ぐ障壁を出現させ、それぞれの技を防ぐ。ダイバが帽子の下でにやりと笑った。

「うっ……」
「ジェム!?」

 ドラゴンテールはただの攻撃技ではない。その衝撃はダメージにならずとも相手を物理的に吹き飛ばす効果がある。ジェムの体が衝撃で吹き飛ばされ、壁に叩きつけられる。ジェムは小さく呻いて気を失った。それを見て、アマノは舌打ちする。

「ちっ……受け身の一つも取れんのか」
「この子はお上品すぎるんだよ……で、どうするの?まだやる……?」
「親子そろって忌々しい……まあいい、ここは一度退こう。少々見くびっていたというところか」

 そう言うとアマノは紫色のボール……マスターボールを取り出す。そこから現れたのはポケモンではなく。空中に空いた『黒い穴』だった。それを見た瞬間、ダイバの意識が途切れた――





「……逃げられたか」

 ダイバが意識を取り戻し時計を見ると、5分が立っていた。アマノとカラマネロ、ランクルスの姿は消えている。どういうからくりか知らないが、逃げたらしい。壁にはジェムがもたれかかるようにして眠っていた。近づき、その顔をしばし眺める。さっきまで戦っていたというのにあどけなく、自分の状況への危機感のない寝顔だった。それを見てダイバは無性に腹が立った。自分の寝顔は母親にアルバムで見せられたことがあるが、こんなに安らかな表情ではなかったし。自分にこんな間抜けな顔で寝られるとは思えなかった。

「……起きてよ」
「……」

 ダイバが呼びかけるが、ジェムはすやすやと眠っている。腹が立つので、思いっきり両方の平手で頬を叩いてやることにした。パチン、と気味の良い音が鳴る。

「あ、あれ、私……」

 ジェムはようやく目を覚まして、周りを見回す。そして自分の状況を思い出したのか、怯えるように自分の肩を抱いた。当然だ。見ず知らずに男に騙され、催眠術にかけられ、キスまでされそうになったのだから。

「……助
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