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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第百九十六話 白狐
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一つ振ってから話しかけてきた。
『トリューニヒト議長、同盟政府はフェザーンを帝国の一自治領として認める、領土的な野心を持たない、そうでしたな?』
「……その通りです」
『フェザーンの中立を望んでおり、ここ最近のルビンスキーの行動は中立を逸脱した行為だと考えている……』
「その通り……」
レムシャイド伯は一つ一つ確かめるような口調で問いかけてきた。おかしな感じだ。皆視線を交わしている。トリューニヒトだけがスクリーンから視線を外さない。
『同盟政府は帝国に対して共同占領という提案を出してきた』
「……」
『帝国はそれを受け入れるべきではないと判断して拒否したが、拒否する以上それに対する代案を出すべきだろうと考えている』
「……」
代案を出す、つまり話し合いの余地は有るということか。しかし、この時点で一体何を話し合うと言うのか? 残るのは帝国によるフェザーン占領、それだけだろう。トリューニヒトが一瞬こちらに視線を向けてきた。困惑するような色が目に有る、同じ思いなのだろう。
『帝国政府から同盟に対し改めて提案があります』
「……」
『帝国は自由惑星同盟軍のフェザーン自治領への進駐を認める』
「!」
皆、一瞬固まった。帝国が同盟軍のフェザーンへの進駐を認める? どういうことだ? 何かの聞き間違いか? トリューニヒトもホアンもボロディンも皆唖然としている。
我々が唖然とする中、レムシャイド伯の声だけが淡々と流れた。
『本来フェザーン自治領の中立性は帝国が保証するものである。しかし、今現在帝国は内乱状態にありフェザーン自治領への過度の介入は避けたい』
「……」
『また自由惑星同盟政府がフェザーン回廊の中立性に関して抱く不安も理解できる。よって帝国政府はフェザーン自治領の中立性の回復を自由惑星同盟政府に依頼したいと考えている』
「本気ですかな、それは」
『もちろん、これは正式な依頼です』
「……条件は」
『それについては、先ず第一に……』
執務室の中は戸惑うような、そして重苦しいような雰囲気で溢れていた。既にレムシャイド伯との会談は終わってから三十分以上立つがその雰囲気が消える事も無い。
フェザーンへの単独進駐を認める、どういうことなのか? 帝国内の内乱が予想以上に大規模なのか、そのために兵力をフェザーンに取られたくないという事なのか……。それとも他に何か理由が有るのか、皆無言で考え続けている。いや、心の何処かで話す事を躊躇っている。
一つにはメンバーが揃っていない事もあるだろう。レムシャイド伯との会談の後、同盟内部の意見をまとめるためネグロポンティと宇宙艦隊に対して人を出す事を命じた。
ネグロポンティは直ぐ来たが宇宙艦隊は状況を確認するため三十分待ってくれ
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