第一部
第一章
妾の子
[2]次話
「あ!妾の子だ!こっちくんなよ!」
「触んなよ!汚れちまうだろ!」
「何勘違いしてんだゴミがよぉ!」
「銀髪赤目の椿ちゃん!悔しかったら殴ってみろよー!」
くっだらねぇ。毎日毎日同じ様なことばっかりだ。
寝ても覚めても妾の子、妾の子って。
終いにはアルビノの事まで使ってバカにしやがって。
あああ、つまんねぇ。
「俺にも優しくしてくれるひと、、居ないかなぁ。」
動物と戯れながらポツリと呟いた。
動物は俺に優しくしてくれる。多分、心が純粋なんだろう。
どんなときも近くに来て、寄り添っていてくれる。
それなのにあいつらときたら...
「あ!赤目ちゃんが動物と一緒にいるぜ!悲しいやつだよなぁ!」
ほらきた。会ったら罵声の雨霰。
周りもあいつらにあわせて僕を罵ってやがる。
まぁ、あいつらが悪い訳じゃない。薄情でもない。
挑めば負けるから戦わないんだ。もし負けるのに戦う奴が居るとしたら、余程の馬鹿かヒーローだけだ。
「明日も、来る。楽しみに待ってろ。」
皆をひとしきり撫でたあと、学校で貰ってきたキャベツやパンをあげる。
肉食だったやつらさえ、もうほとんどベジタリアンだ。
「きゅう?」
ゆっくりと立ち上がり、正面を見る。動物たちにガキ大将がガラス瓶を振りかぶって投げるのが見えた。
「危ない...」
僕は咄嗟に身を乗り出し、動物たちを守った。ドン、という衝撃の直後にザクッ、と背中に硝子片が刺さったのが分かった。
「よかった、みんな、無事...」
ふう、とため息が漏れる。間に合って良かっ...
「おいおい!動物なんか守りやがってあいつマジでバカだろ!」
「だよな!あんなうざいののために体張るとか!偽善者ぶっててうぜえよなぁ!なぁ、皆もそうおもうだろ!?」
プツン、と何かが切れる音がした。
考えるより先に手が動いた。体が動き出した。脳が、赦すなと叫んだ。
「...ふざけんなよ...」
「あれあれぇ?もしかして、怒ってるのかなぁ?このぐらいで怒るとかマジでバカだ...」
バキッ、と言う音がした。殴ったのだ。思いの外痛い。でも、関係ない。
俺はソイツの胸ぐらを掴み上げ、地面に叩きつけた。
「おい。動物なんか、っていったか?訂正しろ。しないんだったら...」
ガン、と地面を殴り付ける。
そして、思い切り睨み付ける。すると、ソイツの仲間等が俺を引き剥がし、今日だけは見逃してやる、と言って去っていった。
何だよ、所詮は三下...か...。
突如、視界がぐらりと揺らぐ。なにがなんだか分からぬ内に、俺の意識は途切れた。
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