プロローグ 消えゆく熱
[2/2]
[9]前 最初 [1]後書き [2]次話
今目の前のホームベース。
そしてその先にある、全国にしか向いていないのだから届かない。
ボールが内野の手から、キャッチャーのミットめがけて投げ込まれる。
それすらも彼目には、届かない。
ボールが、キャッチャーのミットへ収まる。
この時に初めて、彼も自分の状況を理解した。
それでも彼は止まらない、いや止まれない。
自分の向けた情熱に、体の内側を焼かれ、正常な判断能力を失っていたから。
次の瞬間には、彼はホームへと突撃しキャッチャーと交錯した。
そして、その時に感じた体全体を貫くような痛みによって意識を失ったのだ。
小学6年生、12歳の夏。
彼、水上和樹は左足靭帯の断裂と半月板の損傷により野球、そしてすべての運動ができない体になった。
その日にそれまでの彼は失われ、その日以降彼は情熱を失った。
[9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ