第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#18
MILLENNIUM QUEENU 〜Grand Cross〜
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巨大な槍、その鋼鉄の柄がエリザベスの背を力任せに撃った。
衝撃と落下重力で地面へと引き寄せられる二人に、
弦が解れる程に引き絞られた矢の嵐が降り注ぐ。
咄嗟に躰を丸め込み赤子を庇うエリザベス。
脳裡に甦る光景、きっと自分の母親も、今の私と同じ気持ちだったんだ。
背に無数の矢を突き立てながら路面に着弾する女神の肢体。
その地点に暴虐の軍勢が我先にと殺到し、
手にした武器が味方に当たるのも構わず狂ったように振り降ろす。
ヴァギャアッッ!! ズギャアッッ!! グギャアッッ!! ゴギャアッッ!!
歴戦の強者でも眼を背けたくなるような、
残虐極まる潰滅音が途絶える事無く鳴り渡る。
幾ら 『最強』 と云っても、エリザベスの躰は
無敵でもなければ不死身でもない。
斬られれば血が出るし、甚大な損傷を受ければ当然死に至る。
ソコは、 『最強の波紋使い』 でも生身の人間と変わらない。
無情に降り注ぐ暴虐の嵐に、路面は巨大なクレーター状に陥没し、
その規模と深度は時を負うごとに拡大していった。
如何に力の差が在ろうとも、
“こうなって” しまってはスベテが無意味。
無抵抗の者を仕留めるのは、戦闘に於いて最も容易き所行。
「ク、ククク、クハハ、クハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
余りにも一方的だった戦況の、余りにも呆気なさ過ぎる急転。
受けた脅威が優越に変わるのと、心中を掻き躙る自虐的な嗜好も相俟って
オルゴンは溢れる喜悦を抑えられずにいた。
その間にも拡がっていく、暴虐の惨痕。
「クハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッッ!!
フハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッッ!!
ファーーーーハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッッ!!」
鋼鉄が穿ち続ける女神の墓標に、狂った王の哄笑がいつまでも響き続けた。
決して止む事無く。
いつまでも。
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……
ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッッッッ!!!!
どれだけ時間が経ったのだろうか。
無限とも想われた暴虐の狂乱はようやく沈静し、
十年使い込んでも至らない刃毀れと歪みで蝕まれた武器を携えた
騎士達が破壊痕を囲んでいる。
巨大な隕石も落下したように、矢と折れた武器が散乱したクレーターは、
深過ぎて底が見えない。
その深層部に在る女神の遺体、
100年以上前に争奪された聖なる遺骸のように
原形を留めていないかもしれないが、
その一部だけでもとりあげる為にオルゴンは深淵の闇に眼を凝らした。
「ククク、恨むなよ “千年妃”
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