第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#18
MILLENNIUM QUEENU 〜Grand Cross〜
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もしれない。
人が人として手に入れる筈だった当たり前のもの、
今までずっとずっと、失って生きてきたのだから。
透明な雫を浮かべる、澄んだ菫色の瞳が自分を見ていた。
こんなに綺麗な瞳を、憎しみ一色で埋め尽くした者を誰よりも赦せないと想った。
その儚い風貌に、本当に優しく手が当てられる。
「コレは、仲直りの 「握手」 の代わりです。
ミス・マージョリー」
澄み切った菫色の瞳に、同じように澄んだ琥珀色の双眸が映った。
相手が男なら、強烈な肘打ちの一発も顔面にブチ込んでいる所だが、
彼女にはコレで精一杯。
零れ落ちる水晶のような雫と共に、
彼女は口元を覆って何度も頷いた。
何度も、何度も。
“嫌いになんて、なれない”
本当は、どんな暗黒の淵へでも、一緒に堕ちて構わないとすら想う。
でも、 『光の道』 が有るのなら、
陽の当たる場所が在るのなら、
そっちの方へ、二人で歩いていこう。
失ったものは取り戻せない、
しかし、新しいものを生み出す事は、出来る筈だから。
“その為に出逢った” のだと、今はそう想えるから。
「ノリアキ……」
蕭やかな笑顔を覗かせると共に、彼女が腕を絡めてくる。
見る者スベテに安らぎを与えるような微笑で、花京院は応じる。
「行きましょう。例え何が襲ってこようと、
ボク達 “二人” なら、負ける気はしません」
「うん……!」
静かに閉じるドア。
重なりながら遠ざかっていく靴音。
そこに。
「おいテメーら!! この色惚け共!!
浮かれまくってオレのコト忘れてんじゃあねーぞッッ!!」
怒りに燃える魔狼の咆吼がフロア全域に響き渡った。
【2】
先端まで入念に磨き上げられた鋼鉄槍がアスファルトを穿つ。
クレイモア、フランベルジュ、ツーハンデッド・ソード、
あらゆる種類の西洋剣が空を裂く。
コンポジットボウ、クロスボウ、果てには投擲槍までが
次々と近代的なビルの壁面を突き抉る。
石柱のような戦斧や鉄杖が、
路上の全てを撃砕する。
これらスベテの武器を縦横無尽に揮う重装甲の騎士団、
彼等は何も自分達の勢力に匹敵する師団と交戦しているわけではない。
相手はただ一人の “女” しかし一騎当千の概念すら根底から覆す
光輝の女神。
「フッ――!」
神事に於ける舞踏の如く、細い両腕を交差したその周辺に煌めく
薄布が靡き、その色彩に触れた者、眼に映した者すらもが
内側から重装甲を爆砕し、もの言わぬ(元から喋らないが)鉄屑へと化しめられていく。
その屠られた味方を盾にして殺到する武器の嵐、後方から降り注ぐ矢の豪雨、
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