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STARDUST唐eLAMEHAZE
第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#18
MILLENNIUM QUEENU 〜Grand Cross〜
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きで共闘(コンビ) を求めた来た者の顔が甦る。
 なんだか知らないが自分を女と勘違いしていたようなので、
冷たい視線で怯ませ以降は無視していた。
「ア〜ン、何だかよくわからねーが、
要するに 「三下」 って事か?」
「そんな所です。取りあえず場所を移動しましょう。
ボクが隠れ易そうな場所を探してきますからその間アナタは
ミス・マージョリーを手当てしてあげてください」
「お」
 事務的な依頼に応じるマルコシアスの傍らを、白い脚が通り過ぎる。
 ドアを開き、半身を外に出していた花京院の躰が、
突如背後からの温もりに包まれた。
「……」
 解っていたような、予期してなかったような、
判別不能の感情がただ歩みを止めさせる。
 意識が眩む妖艶な美香(かおり)とは裏腹に、
余りにもか細い震えが背中越しに伝わってきた。
「ごめん、なさい……」
 沈黙にも掻き消されるような、儚い声が囁いた。
「ごめんなさい……」
 服に顔を押し付けている所為か、躰の裡に波紋が響いた。
 怯えて、いる。
 表情は解らないが、躰を伝わる体温と気配で、
花京院は彼女の気持ちを察した。
 本当は、立ち止まっていられる状況ではない。
 敵の 『能力』 が解らない以上、
いつまた銃弾が強襲して来ても不思議はない。
「本当に、解ったのですか?」
 しかし花京院は、その危険(リスク)を受け入れた上で彼女に訊いた。
 このまま二人撃ち殺されても……奇妙な諦観がそこに在った。
「人間は、みんな 「弱い」 んです。
一人じゃ、生きていけません。
だから、その日その日を精一杯生きようと努めるんです。
いつか消えてしまうから。余りにも儚い存在だから」
「うん……」
 背後で彼女が頷くのが解った。
「だから、己の能力(チカラ)(かま)けて、
弱者を踏み躙る者をボクは憎みます。
邪悪な 『スタンド使い』 や “紅世の徒” を、心の底から憎みます。
どんな強大な力を持とうと、必死に生きようとする者の生命(いのち)を奪う権利は
誰にもないからです」
「ん……」
 再び、彼女の顔が少しだけ動く、廻された手に、力がこもる。
 自分に言われる迄もなく、彼女はそんなコトは知っている。
 本当は、誰よりも優しい女性(ヒト)なのだと理解している。
 だから冷静さを失った、憎しみに取り憑かれて荒れ狂う彼女を見たくはなかった。 



「嫌いに、ならないで……」
“嫌いに、なりたくなかったから……”



『敵』 として、彼女と対峙するなど堪えられなかったから。
 振り向いた傍、自分の胸の中にいる彼女。
 グラスがなくなり髪を下ろした所為か、
あどけない、年下の少女のように見える。
 否、実際に、そうなのか
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