第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#18
MILLENNIUM QUEENU 〜Grand Cross〜
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なかった事、
ただそれだけを女神は赤子に心から詫びた。
その姿を、遙か遠間から見る双眸無き瞳。
己の存在の大部分を消費し、今や見る陰もなく弱体したオルゴン 「本体」
先刻の波紋超奥義発動の刹那、その射程外に予め逃がしておいた分身に
精神を移動させる事を間一髪成功させていた。
コレはオルゴンの躯に染み着いていた技の練度と、
エリザベスが片腕しか使えなかったコトを差し引いても殆ど僥倖と言って良い。
しかしこれで裡は蛻の殻、戦える状態ではないし、最早その気力もない。
「オレは……人間というモノを、侮っていた……
愚かで、取るに足らん脆弱な種だと……
しかし、 “あのような存在” がいるのか?
ただ力に長けているだけではない、
それらスベテを根底から覆すような存在が……!」
意図せずに総身が震え、手首のない手が外套を掴む。
屈折してはいるが生まれた想いも、今は畏れに呑み込まれ見えなくなった。
もう一度逢いたいと想う反面、一刻も速く此処から離れたかった。
「いずれにせよ、少し時を置いた方が良さそうだ。混乱し過ぎている。
まずは統世王の幕下に戻り体勢を」
“ダメです”
耳ではなく頭蓋の奥に、直接声が響いた。
あの女が追ってきたのかと驚駭したが、
それは生前耳慣れた者の声だった。
「大……御巫……?」
近くにいるわけがない、大陸と大海を隔てた超々距離で自分だけに意志を伝える
その器量に改めて驚嘆した。
“アノ者は、今ここで確実に討滅しなさい。
生かしておけば、必ずや我が陣営に禍根を残す存在となります”
氷をそのまま音にしたような、冷然極まる声が心中に響いた。
「し、しかし……!」
“反論は赦しません。そして、貴方の意志も関係ありません。
出来ないなら 『そうせざる負えない』 ようにする迄です。
統世王様は捨て置けと仰いましたが、
私は貴方の叛意を見過ごすつもりはありません”
「――ッ!」
聞いた事がないほど多弁に、そして冷たい怒りを露わにする少女の声が
心奥を突いた刹那。
「え?」
妙に頓狂な声が、オルゴンの口から漏れた。
暗闇になっている、オルゴンの外套の内から蛇のような触手が一本、
続いて悍ましい勢いで爆発的に飛び出してきた。
「な、なんだ!? “コレ” はああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?
こ、こんなモノがどうしてオレの躯の中にィィィィィィィィィィィ!?」
“ソレは、アノ方の御躯の一部です。
信の於けぬ者には取り付けるよう進言しておいたのが功を奏しました。
貴方は昔から激情に駆られるとどう暴走するか解らない。
その行状、前々から危険だと想っていました
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