第三部 ZODIAC CRUSADERS
CHAPTER#18
MILLENNIUM QUEENU 〜Grand Cross〜
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がれた蒼色の液体、ソレを彼女が振り撒くと
忽 ち空気と混ざり合い、一挙に霧散して慈雨のように降り注ぐ。
えもいわれぬ香気が周囲一帯を覆い尽くし、
眼下の騎士団は一部の例外もなく慈雨に濡れた。
特殊な製法で造られた、波紋組織秘伝の 「香油」
エリザベスがコレから繰り出す御業の “触媒”
その波紋伝導率は無類を誇る。
「コオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォ……ッ!」
片腕で赤子を抱いたまま、周囲が真空に陥る程の大気が
エリザベスに取り込まれていった。
ソレは内部で、全細胞の裡で山吹色緋 色
青 緑 銀 色ありとあらゆる色彩と波長と成って
「分裂」 し、烈しい衝突を繰り返しながら深遠へと疾走する。
聖煌天翔。闇滅の神架。
“波紋超奥義”
『偉大なる聖十字架ッッッッッッ!!!!!!』
行使者名−エリザベス・ジョースター
破壊力−S スピード−S 射程距離−半径300メートル
持続力−S 精密動作性−S 成長性−完成
カアァッッ!!
裡で極限まで練られた莫大な波紋がマフラーを透して撃ち出された刹那、
その場に一切の破壊音は起こらなかった。
ただ、交叉状に拡がった形容できない色彩の光を浴びた者全てが、
塩の柱のように硬直し、存在そのものが燃え尽きたように塵と成っていった。
一体の例外もなく、無数にいたオルゴンの影もまた同様に。
スベテの存在を、極小から消し去る女神の聖光。
最早 “業” と呼べる次元になく、神意と云っても過言ではない。
その証拠に、奥義の対象となったオルゴン以外に、
壁面に微かな零れすらもないのだ。
正に、女神の慈愛が形に成ったかのような神秘。
如何なる強大な軍勢で在っても、この聖光の前には従属しかない。
「……」
自分と、胸に抱く赤子以外誰もいなくなった路上に、女神が舞い降りる。
無垢な赤子は、何も知らないまま静寂の中で夢を見る。
胸中に溢れる、云いようのない淋しさと虚しさ。
『最強』 で在るが故に、争いの無意味さは、
エリザベスは他の誰よりも解っている。
戦いに、勝者も敗者もない。
ただ 「破壊」 が在り、後に悲しみが遺るだけだ。
アノ時も、アノ時も、アノ時も。
それなのに、何故人は争うのだろう?
後に、こんな子が残るだけなのに。
こんなに、あったかいのに。
名も解らぬ子を、エリザベスは力いっぱい抱き締める。
“あの子” にしてあげられなかった分、強く、強く。
自分がもっと強ければ……
母親と一緒に家へ帰してあげられ
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