暁 〜小説投稿サイト〜
ソードアートオンライン 無邪気な暗殺者──Innocent Assassin──
OVA
〜暗躍と進撃の円舞〜
迷子は迷子と気付かない
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加された街――――《イグドラシル・シティ》に人が流れていっているが、それでも規模で言えばまだ負けていないし、宿屋にかかる(ユルド)のコスパ面から、いまだにこの街をホームタウンにしているプレイヤーは少なくない。

また景観の面からあまりプレイヤー主体のお祭り騒ぎめいたことがないイグシティに比べ、文字通り地に足付いたアルンはイグシティより古くから妖精九種族入り混じる混沌の都であったためか、ある程度その方面には寛容な傾向にあった。

そんな訳でアルンのメインストリートにはプレイヤーが出す屋台が、通常の店舗の隙間を縫うように立ち並んで賑わっていた。

こういう屋台は大抵、自分だけの店を持ちたいけど買えない、というプレイヤーが出店しているため、そのための資金集めのために原価に対しかなり高額だったりするのだが、それもお祭りムード特有の空気を助長しているのだろう。実際、こういう独特の雰囲気はイグシティにはないということで、釣られたように行きかう人数も多い。

そんな下剋上な中、たこ焼き一筋でアメリカンドリームを狙う一人の水妖精(ウンディーネ)の少年は、アイスピックみたいな先端の尖った道具で鉄板上で熱せられた生地をくるくると慣れた手つきで高速回転させていた。

ALOでは景観や世界観を損ねるからという理由で、あまり現実サイドの広告などは表示されていないのだが、この手の現実にある食べ物というのは新鮮だという理由でむしろ喜ばれる。まぁ、見た目と味が必ずしもイコールでないところはゲームらしいといえばらしいのだが。

ウンディーネ領が首都を構える南東の《三日月湾》で取れたシャークトパスの、現在進行形でうねうねしている脚のぶつ切りを含む生地を返しながら、少年はぼんやりと思う。

―――そういえばたこ焼きってバリエーション少ないよなぁ。チョコレートとかカスタードとかブチ込むタイ焼きとか肉まんみたいな革命はいらねぇってことなのか。

たこ焼きというのは身近なようでいて、よくよく調べてみると意外に先入観や思い込みでイメージを補正していることが多い謎の食べ物だ。少年自身、このアイスピックみたいな道具(彼にはその名前も分からなかった)を一つだけ使って生地を回しているものだとしばらく勘違いしていたが、同じくたこ焼きを作る師匠の下で修業して、実際には二本使うものだと初めて知った。

同様に、中までガッツリ火が通っているものだと思っていたのも失敗だった。危うくたこ焼きという名のサーターアンダーギーを量産するところだった。

と、そこで。

「……あん?」

屋台の端。熱された鉄板がぎゅうぎゅうに詰められたテーブルの中で、辛うじて鉄板の魔の手が及ばなかった小スペースにちっこい手が二つ並んでいた。

加えて言うなら、やたら真っ白な少女が屋台のテーブル
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