闇-ダークネス-part2/血塗られた記憶
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水不足となり、やがて人間が互いに戦争を起こしては殺した人間の死体を食って生き延びようとしていたという話がある。しかし、ここで紛争が起きていたとはいえ、人を食ってまで飢えをしのぐほど貧困とは思えない。
男性は愛梨からの問いに「ええ」と肯定した。
「それからも町の人間が同じ人間に食われ、犯人が疾走する事件が多発しました。それが繰り返されるうちに町の連中は犯人を祀り上げては暴行を加えるようになって、最悪殺された人もいたんです。中には犯人じゃないとかばいたててくれた人もいたんですが、その人たちも…」
何とも不愉快な話だった。自分たちが殺されるのを恐れていたとはいえ、勝手な疑いの果てに勝手に相手を怪物扱いして殺すなど愚の骨頂だ。
「私たちには耐えられませんよ。おかげで私たちは町を離れ、こうして寂れた村を作って隠れ住んでるんですが…今でも時々連中は私たちの姿を見た途端に銃を向けてくるんです。これまで何人もの仲間が殺されました…やむを得ず私たちも抵抗して、連中から食料を奪うなどして、わずかな生計を立ててるんです」
「それが、この紛争の正体なんですね…?」
シュウがそういうと、男性は悔しげに頷いた。自分たちが勝手に化け物に祭り上げられ、一方的に攻められ、責められる。辛く思わないはずがない。
村の離れに一つの空き家を設けてもらったシュウたちは、ひとまずそこで寝泊まりすることになった。
「シュウ、あの人たち、なんとか助けてあげられないかな?」
この日の就寝時間の直前、愛梨はふと、その言葉を口にする。しかし、仲間のスタッフたちからダメ出しを受けた。
「私たちの任務は、あくまでディバイドマシンガンのテストですよ。紛争に余計な茶々を入れたら我々が殺されるだけです」
「その通りだ。俺たちが無理に横やりを入れたら、それこそ事態を混乱させてしまうこともあるんだ」
紛争、という点については、部外者である自分たちが介入すべきことではない。自分たちの身だって危険にさらされるし、無理に外部の者が介入することで、返って火に油を注ぐ結果をもたらすかもしれないのだ。
「いや、そうとも限らないかもしれない」
だがシュウだけは、愛梨の意見に肯定的な意を示した。
「たぶん、今回の紛争の陰にはビーストが絡んでいると思う。あの村の男の話を思い出してみてくれ」
「行方不明になった村人、その人が人を食らったって、話?」
「あぁ。実は、TLTにはすでに、人の姿で人を食らうビーストが出現していたという事例がある。事実、あのザ・ワンも人間の体を乗っ取っていた」
「あ!」
シュウがそこまで説明すると、愛梨があっと声を上げる。ほかのスタッフたちも彼の言葉にある予測を立てた。
「じゃあ、もしかして…」
「まだ憶測の範囲だけど。まぁ、証拠らしい証拠もあるけどね…。実はこの村と、この
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