暁 〜小説投稿サイト〜
ウルトラマンゼロ 〜絆と零の使い魔〜
闇-ダークネス-part2/血塗られた記憶
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「新兵器の設計図なら、ダラスにある俺のラボに置きっぱなしにしてある。俺じゃなくても、他のプロメテの子たちなら理解できるはずですし、きっと役に立てますから勝手に使って、いいです…」
実はこのとき、既にシュウの手によって、クロムチェスターなどの、ナイトレイダーの装備に関する設計図そのものが出来上がっていた。だが、今のシュウにそれらの開発に携わりたいと思えるだけの心はなかった。
「よろしいんですね?」
迎えに着てくれたTLTの職員から問われ、シュウは頷いた。
「はい…しばらくTLTの任務から外れます」
「私も、シュウと一緒に日本に残ります」
「…わかりました。向こうにもお伝えしておきます」
紛争地帯での話を聞き及んでいたのか、それ以上職員はシュウと愛梨に何も聞かなかった。
TLTからの迎えを断り、二人は援助金を得て、日本のとあるアパートで暮らすことになった。
「…姫矢さんの件は、俺のせいだ…俺が……」
しかし、あの日からシュウは激しい罪悪感に苛まれた。自分の行いが、一人の男の人生に暗い影を落としたことが、あの戦場で多くの命が失われたことが、同時にシュウの心に影を落とした。
「シュウ、あれはあなたの…」
「俺のせいだよ!!俺が…何もできなかったから…それどころか、俺の作った武器をビーストの駒にされた人たちに利用されて、人を…人を撃ち殺していたんだ!!ビーストを撃って人を守るはずの武器が人を殺していたんだぞ!!
それを作っていたのは他ならない俺自身だ!!」
「……」
すると、愛梨はシュウの顔を両手で掴んで自分に向かせると、バシン!とその顔を叩いた。
「…ッ」
「だったら、いつまでもうじうじしないで。姫矢さんだってあなたが悪いだなんて思ってない」
「愛梨…だけど」
「こうしてふさぎ込んでも、何の意味がないわ。
覚えてる?あの戦場で、あなたをかばってスタンたちは亡くなった。だったら、私たちのために消えていった人たちのために生き延びなくちゃ…」
「……」
叩かれた頬を押さえながら、シュウは愛梨を見る。
「今はTLTやビーストのことは忘れましょう?ここで普通に働いて、普通に二人で暮らして、またいつか戻ればいい。
私も一緒にいるから、ね?」
とても優しい微笑みだった。それは、荒み切ったシュウの心に潤いをもたらした。シュウは、心の痛みに耐えられるほど強くなかった。その優しさに縋りたくなった。
「愛梨…」
そっと優しく自分を抱きしめてきた愛梨を、シュウは抱きしめ返した。

それから二人は、TLTに纏わる者としてではなく、どこにでもいるごく普通の人間として生きることにした。いつかまた、TLTの一員として人類に貢献したいと思えるその日まで…。

それからしばらく…
今から1年前の頃だった。シュウたちは、ある場所を訪れた。

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