闇-ダークネス-part2/血塗られた記憶
[11/15]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ンを取り返しておきたかったが、最早それどころではなかった。
二人は引き続きセラたちを探しに向かったのだが、さらなる悲劇がここで二人に直面することとなった。
「シュウ、あそこ!」
愛梨が流れ弾をかいくぐりながら、姫矢を探し続けるセラを、その向こうでカメラを手に持って撮影をしていた姫矢をついに発見した。しかし、シュウはそこで見つけた。
おそらく、ビースト化した村と対立関係にある町の人間と思われる男が、手榴弾を姫矢に向けていたのだ。
「止め…ッッっぐあ!!」
いち早く気づいたシュウだが、そこで彼は銃撃の音と共に、体に激痛を覚えた。流れ弾に当たってしまったのだ。それも何発も。
「シュウ!しっかり!」
愛梨が銃撃に当たらないように姿勢を低く保ちながら、直ちに彼の元へ駆け寄る。酷い怪我だった。不運にも防弾チョッキの隙間に、一部の銃弾が入り込んでいる。命に別状こそ無いようだが、早く治療してやらないと危険だ。
しかし、シュウは顔を上げてセラの方を見た。向こうに小さく見える、敵の兵士が手榴弾のピンを外していた。セラの存在に気づいたのか、奴は姫矢からセラにターゲットを変えていた。
「ッ!!セラ、よけろおおおおおおおおおお!!!」
シュウは必死に叫んだが、うるさく響く銃声のせいで彼女の耳に届くことはなかった。
「ジューーン!!」
次の瞬間、セラは姫矢のもとへ走って行ったところで、……
手榴弾による爆風の中に消え去った。
「セラーーーー!!!!」
「セラちゃん!!!」
シュウが、愛梨が…そして何より……
「セラ…セラーーーーーーー!!!!」
足に銃弾を浴びながらもセラのもとへ行こうとするが、行くことも手が届くこともできなくなってしまった姫矢の悲しみに満ちた叫びが、森の中にこだました。
そこから先の記憶は、無かった。
ただ、悔しくて、情けないという思いだけが残った。
なんで…こうなってしまったんだ…
ビーストを早く発見して始末していれば、こんなことにならなかったんじゃないのか?それなのに……
みすみす発明した自分の武器を奪われ、姫矢はその銃で負傷。そしてセラを助けてやることもできなかった…。
ちなみに、シュウたちは知らないままだったが、この紛争を激化させた首謀者であるガルべロスは、姫矢の夢の中に現れ…『二番目の適能者』として覚醒した彼に倒されることになる。
シュウと愛梨は、姫矢を連れて戦場を脱出した。
なんとか北米本部と連絡を取り、姫矢のことも日本に連れて帰してあげることになった。
「日本でしばらく静養するよ。なんか…疲れた」
搬送された姫矢もそうだが、シュウは、あの紛争地域から帰還後、精神的に参っていた。とても研究開発に勤しめる状態ではなかった。
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ