闇-ダークネス-part1/始まりの記憶
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ど、自分のこと…誰でもいい。信じられる奴に、ちゃんと話しとけよ。それだけで、未来が変わるはずだ」
約束だぞ、とアスカは言った。
アスカへの応急処置を済ませ、シュウは救護セットを片付けながら口を開いた。
「人を幸せにする機械を作りたかった」
「え?」
「俺の夢だ。昔の」
「な、なんだよ。話す気になったのか」
急に、自身のことを明かしてきたシュウに少し困惑を覚える。
「あんたがまたしつこく聞いてきそうだったから仕方なく、だ」
「…だったら最初から話せよ。めんどくさい野郎だな」
「悪かったな…こういう男なんだよ、俺は」
アスカのしかめっ面を悪態で返して、シュウは話を続けた。
今から20年前。俺たちの地球のアメリカ・コロラド州の荒野に、謎の生命体が飛来した。当時のアメリカ政府はその現場で発見された謎の生命体を捕獲した。
そしてあることが判明した。その生命体は、宇宙から飛来した、地球より遥かに発展した、所謂宇宙人という存在だった。とはいえ、発見された時には『光量子情報体』という、肉体のない状態だった。
その宇宙人…『来訪者』たちは、自分たちの母星が滅んだ原因を、そしていずれ同じ脅威が地球にも訪れることを俺たちに伝えた。
そして後に地球に飛来することとなる脅威…スペースビーストに対抗するために、いくつものプロジェクトが執り行われた。
その一つが…『プロメテウス・プロジェクト』
俺と憐、イラストレーター、そして…『彼女』は、『来訪者』とのコンタクティーを生み出すために誕生した、『プロメテの子』。
俺の役目は、生まれたときから定まっていた。
来訪者たちが警告した怪物、『スペースビースト』の脅威から地球の人々を守るために知識と知恵を駆使すること。
だけど、戦いは常に人の悲しみに溢れかえる。
器に入りきれないほどの量の水が流し込まれて溢れかえるように…。
俺も、また…
今から数年前…。
白い光に照らされた、ある教室。そこには制服姿の、それも現在よりも幼い風貌のシュウが学生用の椅子に座っていた。傍らには、彼とほぼ同年代に見られる長い茶髪の少女がいた。
「シュウは、どうして機械工学を志したの?」
髪の色は茶色くて長く、ストレートに下ろされた髪は最終的に二本に分かれて束ねられていた。
「実はさ、この前日本の漫画を読んだんだ」
教科書をまとめながら、彼は彼女の問いに答えた。
「日本の?」
「日本の漫画とか見てると、夢みたいな世界が広がっていてさ、みんなが笑っているんだ。それも幸せそうに」
「うんうん」
「でも、現実となるとそうは行かない。何かと今の世界って、平和といえば平和なほうかもしれない。でもどこかでやっぱり、さまざまな事情で不幸になってる人もいる
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