闇-ダークネス-part1/始まりの記憶
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きてきたがゆえに、誰よりも清く純粋で、優しい心を持ったハーフエルフの少女。彼女と過ごす時間は…。
今は亡き、自分がかつて大切に思っていた少女を思い出させた。
「…そいつまで傷ついた果てに死んだりしたら、それこそ世話がないだろ」
彼女は…ティファニアは太陽のように眩しい存在に見えた。けど、だからこそ自分の心の影が浮き彫りになるのを覚える。
その影が、彼女たちの平穏まで乱してしまった…。本当なら、あの森で静かに、これといった災いとも無縁のまま生きていくことができたはずなのに…。
表情と目つきを険しくしながら、アスカはシュウの背中を睨む。
「お前、何をそんなに思いつめてんだよ。無謀なことを平気でしでかすみたいだし、自分のことも卑下しまくりで…」
「……」
「何とか答えろよ。
嫌なことは確かに口にしたくないもんだろうし、俺だってお前がそこまで嫌がるなら無理に聞く気もねえ…って言いたいけどよ、そんなに内に溜め込んじまったら、どうにかしてやりたくなるぞ」
「余計なお世話だ」
「余計なお世話ってお前な…」
「もういい…!…俺のことは放っておいてくれ…!」
遂に声を荒げ、アスカの言葉を拒絶した。だがアスカは引き下がらない。むしろシュウの喚き声を浴びてかえって火がついた。
「ほっとけるかよ!なんでだよ…なんでそんなに他人を拒否するんだ!お前を心配する人がいるのに、どうしてその人たちの声から耳を背けるんだ…?」
傷の痛みなどものともしなくなり、アスカもシュウに向けて怒鳴り散らす。確かに人は後ろめたいことがあると、口をつぐみたくなることがある。
だがシュウのようにとことん自らを追い詰める人がいるとしたら、もう愛想が尽きて捨て置くか、とことん首を突っ込むしか進展しないだろう。アスカか選んだのは、後者だった。
「お前には…夢とか希望とかねぇのか!?」
「……ない」
「嘘だ。お前はまだ若いじゃねぇか。夢の一つや二つ、抱いたことくらいあるだろ?」
「持っていない」
「ッ……!!
じゃあ、お前は何でウルトラマンをやってるんだ?なんでティファニアたちを守ってきたんだ?どうして自分以外の誰かのために戦おうとしたんだ?」
「…」
まるで食い下がるような姿勢を見せないアスカ。
シュウは彼のしつこさに嫌気を覚えかけると同時に、一つ思い出したことがあった。
故郷にいた、知り合いたちの顔を。
ずっと忘れていたことをある日突然思い出したような感覚だった。
(彼らも、やたらしつこく俺に構ってきたものだな…)
すると、二人のいるフロアへ近づいてくる声が聞こえてきた。
「賊が逃げ込んだ先はここだ!隠れているやもしれん。なんとしても見つけ出して捕まえろ!」
「ち、もう追っ手が!」
舌打ちするアスカ。
「………早くここを出た方がいい。ここは敵
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