闇-ダークネス-part1/始まりの記憶
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よく見るとアルビオン兵の鎧を、元の服の上から着込んでいた。死臭がきついが、シュウも言われた通り適当に近くに倒れていたアルビオン兵の鎧を着込み、アスカを連れてすぐにこの場を離れ始めた。
「む…」
闘技場を出て廊下に入り、二人はしばらく歩くと、向こうから他のアルビオン兵たちがやって来るのが目に入った。やはり自分たちやって来た方角にある地下闘技場で異常が発生したことを聞きつけたのだろう。
「貴様ら、なにがあった!?」
部隊長らしき男が、顔まで兵士に化けたシュウとアスカに、何が起きたのか、状況報告を促してきた。
「え、えっと…」
見つかってもすぐに侵入者であることを悟られないようにこの鎧を着たのだが、見つかった際の良いわけを思い付けなかった。何とか誤魔化さないといけない。アスカが必死にネタを考え始めると、アスカが思い付く前に横からシュウが部隊長に向けて口を開いた。
「この先のエリアに怪獣が出現しました。我々は何とか応援を呼ぶよう、仲間たちのお陰で離脱できましたが…被害は甚大です!」
「なに!?く…すぐに向かうぞ!そこの貴様は彼らを衛生兵のもとに連れていけ」
「「はっ!」」
シュウの話を鵜呑みにして、部隊長はシュウたちのために部下を一人残し、他の部下を引き連れてシュウたちがやって来た方角の闘技場へ向かっていった。
「二人とも、こっちだ」
残った兵士が、シュウたちを連れて、彼らの進行先である反対側へ向かう。着いていく中、顔を覆う兜の下から、アスカの視線を感じた。大丈夫なのか?このまま行っても、そう言いたげにシュウを見る。勿論シュウもその事を考えている。このまま素直に着いて行ってもここから出られない。
「すいません、ここから出口まではどのくらいの距離ですか?」
「出口?ここの最上階が地上への入り口だろ?なんで聞くんだ?」
「まだこの辺りの仕事にはまだ慣れていません…」
と、ここまで言いかけたところで、シュウアスカにと視線を合わせ、小さく頷いた。手が既に、握り拳を作っているのを見て、アスカもシュウの意図を読む。
「ので!」
シュウがその声で言葉を切ると同時に、二人はアルビオン兵の腹と首筋を同時に攻撃した。
「うぐ…!?」
突然急所を殴られ、アルビオン兵は倒れて気絶した。ドサッと倒れたその兵士を見て、アスカはどことなく罪悪感を覚える。
「な…なんか俺たち、実はものすごい悪者に見えるんじゃないか?」
「こうでもしないと、俺たちは脱出できない。それに……」
しかしシュウは淡々と答える。無情にも取れる言い回しだが、間違ったことはいっていないのでアスカはそれを否定しきれない。ふと、最後のあたりでシュウは一度言葉を切った。
「それに…?」
その一言の後に続く言葉に、アスカは耳を傾けた。シュウはアスカから視線を背け、ただ一言呟
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