闇-ダークネス-part1/始まりの記憶
[12/14]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
悲痛な表情を浮かべた。
「シュウ…」
ザ・ワンの口から放たれる、破滅の光が新宿の街を焼き尽くしていく。
険しい表情でザ・ワンが起こす惨劇のを、シュウは目を背けることなく見ていた。怒りがこみ上げた。ザ・ワンにも…力及ばずだった自分にも。
「僕がもっと強力な弾丸を作れていたら…」
それができていれば、あのときの自衛隊の隊員たちは…こんな悲劇的な大惨事だって起こらなかった。
BCSTの矢代隊長の部下を失ったことで怒りと悲しみの表情は、シュウの心を痛めつけた。
それにこの町の人たちの中にも…あの炎の中に消えて行った人たちも大勢いたに違いない。
「シュウ、あなたのせいじゃないわ。あの怪物が強すぎた。ただそれだけよ」
「だけど!」
それでも、やはり自分の力不足さを呪わずに入られなかった
「悔しがるよりも、もっとやるべきことがあるはずよ?大丈夫、私が傍にいるから」
そして、そんなシュウを励まそうと、愛梨はそっと手に触れてきた。
「愛梨…」
その温かさと優しさは、シュウの心を溶かすに十分だった。
最初は武器を作ることにシュウは強い抵抗があった。武器は人をたやすく殺せてしまう。それも人間の想像を超えた怪物を殺せるほどのものとなると、その破壊力は果てしない。
万が一は、銀色の巨人…ザ・ネクストに頼らければならない。
それでもザ・ワンのことを思い出す度ぶ、シュウはザ・ワンを許せなかった。奴を殺さなくてはならないと。
自分と彼女…愛梨の未来のためにも。
それからシュウは、『人を幸せにしたい』という願いのもと、研究に励んだ。
だがTLTからの話によると、ザ・ワンの細胞を受け継いだ新たな脅威…スペースビーストがいずれ地球を食らおうとする。そんなことになれば、多くの人たちの幸せが奪われていく。自分がこの時抱いているような夢を抱くことさえもできなくなる。そんなことが許されてなるものか。
あの悲劇を繰り返さないために、シュウはさらに勉学と研究に励んだ。
気が付けば、TLTの新兵器開発計画の責任者に抜擢されており、愛梨はそんな彼の補佐としてずっと傍にいてくれていた。
対ビースト殲滅兵器、その生みの親となったシュウ。
『人を幸せにしたい』という願いが、いつしか『人を守りたい』という願いに変わっていた。
だが、シュウはまだ子供だった。
どのように優れた物を設計しても、大人たちは
「所詮子供が作るものだ」
「ご大層にプロメテの子とか言っていたが…期待外れだった。こんな子供ではどうせ…」
と一蹴することが何度もあった。
言ったとおり、シュウは当時まだ子供だった。しかしそんな子供でも、まだ弱かった頃とはいえザ・ワンに毒を盛ることができる弾丸を作り、水原沙羅にそれを渡すことができただけでも凄いことだった。
だが大人たちは
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ