闇-ダークネス-part1/始まりの記憶
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だが、有働…ザ・ワンには結局逃げられた。そのとき、撃てなかったと告白した沙羅の表情を、シュウは忘れられなかった。
後に、彼は新たな作戦にも参加させられた。
日本領域内のある無人島にて、ザ・ワンが狙っているとされる人間の男を囮に、ザ・ワンをおびき寄せたところを一斉射撃でしとめるというものだった。
彼の特殊弾は水原沙羅の手から自衛隊に提供され、作戦において一事は奴を仕留めたかに思われた。
だが、ザ・ワンの事故進化速度は、沙羅やシュウの想像を上回っていた。奴は何十発も弾丸を浴びせられたのに死ななかった。それどころか突然、まるでRPGのボスモンスターがの形態変化が現実になったように変化を起こし、その圧倒的力で自衛隊の人たちを屠った。
突如現れたという銀色の巨人との激闘の末、ザ・ワンには逃げられた。
銀色の巨人のことも聞いてはいた。
ネクストと同化した男…真木とは直接話す機会を得られなかった。BCSTの設置した監視カメラの記録映像でその顔を見たくらいだ。
彼の家庭の事情とこの場に連れて来られたことを考察して、ネクストと一体化したことを除けば真木はどこにでもいる息子思いの親だった。シュウはプロメテの子だから親はいなかったから、彼の子が少し羨ましく思ったこともあったが、そんなことはどうでもよかった。
それよりも、次のザ・ワンとの戦いに備えて新しい弾丸の開発だった。もう奴の進化速度に追いつけるかの保証は絶望的だったが、ザ・ワンが…嘲笑いながら人を殺しまくる姿を想像してしまうあまり、何もせずにはいられなかった。
二度目も新宿の地でウルトラマンとザ・ワンの決戦が始まったときも、シュウは沙羅と協力して、新たな対ザ・ワン用の強力な毒性を持つ弾丸を開発しそれを託した。有働の姿で対面したときに発砲されたその弾丸は効果自体はあったらしいが、ザ・ワンが本来の姿に変貌した時にはすでに豆鉄砲程度だった。
結局、最後はネクストに変身した真木…後のウルトラマンにすべての決着を任せることになった。ザ・ワンのさらに強大で巨大な、おぞましい悪魔のごとき姿を目の当たりにして、引き金を引くことさえもできなかった。
今でも、シュウは覚えていた。後にとある事情で人々の記憶から消され『隕石の衝突』として世間に改変された形で公表された『新宿大災害』と呼ばれることになった、あの時の光景を最後まで見届けておきたかったのを。
ザ・ワンの攻撃で爆炎に消えていく新宿の町並み。踏み潰され、焼かれ、殺されていく人たち。まさに地獄。若年ながら、自分はそんな地獄を生み出す悪魔から人を守る立場に立ったのに…その責任を果たせなかった。
「……」
ザ・ワンとウルトラマンが戦う姿、シュウと愛梨は安全な場所に待機するようにといわれたので、怪我を負うことは無かった。
現場ではなく、映像で現場を見たシュウは
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