闇-ダークネス-part1/始まりの記憶
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…
「…!」
意識を失う直前の出来事を思い出し、シュウの中に猛烈な吐き気がこみ上げ、思わず口元を押さえる。なんとか戻さずに済ませ、ようやく口をあけると、荒々しくなった息を吐く。
改めて周りを見渡すと、黒い鎧の兵士たち…アルビオンの兵たちがあちこちに、四肢を切断されている状態で転がっているのがわかる。
その光景は…彼の記憶にある、ある一幕を瞬時に思い出させた。
人が人を撃ち殺す、それが当たり前の戦場の光景…。それがたとえ女子供であろうと、容赦なく死んでいく…。自分の心に刻まれた影の一部を思い出し、シュウはギリっと唇をかみ締める。
「シュウ…」
ふと、自分の名を呼ぶ声が聞こえる。それを聞いてシュウは警戒心を高める。まさか、メンヌヴィル…メフィストがここにいるのか?だが、今シュウの名前を読んでいたのはメフィストではない。声にあの男のような邪悪さが微塵も感じられなかったのだ。視線を声の方に傾け、シュウは声の主の正体を確かめた。
「…ッ!アスカ…!」
つい最近まで自分も存在を知らなかった、異次元のウルトラマン=ダイナことアスカ・シンだった。
「よぉ…!」
シュウはすぐに、死体の山のすぐそばに倒れているアスカを見つけ、駆け付ける。
「何があった?」
さっきまで意識がなかったシュウは、ここで何が起きたのかわからない。しかもアスカも酷い傷を負っていた。
「…?お前…まさか…」
逆に、シュウから尋ねられたアスカは、シュウの言動に耳を疑った素振りを見せた。
「ん?俺の顔に何かついてるのか?」
「い、いや…なんでもねぇ」
一体アスカは何を聞こうとしていたのだろうか。シュウは首を傾げるばかりだ。
「それより、ここを離れようぜ。何せここは敵地だからな。っ…!」
立ち上がるアスカだが、体に走る激痛でまた崩れかける。床にダウンする前に、シュウが抱き止めてそれを防ぐ。
「大丈夫か?それに…敵地?」
「簡単に言えば、ここはアルビオンのどっかにある、お前とティファニアを狙ってきた連中の秘密基地だ」
「なに?」
シュウは大きなリアクションは示さなかったが、驚きを露にした。ここがアルビオン?まさか、ロサイスでの戦いのあと、俺は…
「詳しい話は逃げる途中においおい説明する。それよか早くここを出るぞ。これだけ回り酷い有り様なんだ。連中も気づいてるはずだ」
シュウはこの場で何が起きたのか、まだ事態が呑み込めていないが、少すくなくとも少なくとこんな場所で長く留まれるはずがない。シュウはなぜか傷ついているアスカに肩を貸して立ち上がらせる。
「シュウ、ここはアルビオンだ。彼らの鎧を借りて成り済ました方が良いと思うぜ」
その考えに、シュウも悪いものではないと思った。死体漁りのようで気が引けるが、自分の格好は地球のもので、異世界であるここだと目立つ。アスカも
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