帰郷-リターンマイカントゥリー-part8/断ち切れない家族
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事件後…
「大丈夫、平賀君?」
屋敷内の医務室にて治療を受けていたサイトを、ハルナは少し心配そうに見つめる。
治療を施している相手は…まだトリスタニアにいるはずの、アンリエッタ女王その人だった。水の治癒魔法で、彼の傷を治癒してあげていたのだ。
「サイト君のけがの具合はどうですか?」
ムサシがアンリエッタに尋ねる。その傍らにはピグモンもいる。頭に包帯を巻いている姿に妙な愛らしさが放たれている。
「…これでよし。もう大丈夫です。サイトさん、あまり無理をなさらないでくださいね」
光を放っていた杖を下して、アンリエッタは治療完了を告げた。
「まさか、姫様が来るなんて思いませんでしたよ」
「こらサイト、陛下と呼ばんか」
アンリエッタの来訪に驚きながら、少し馴れ馴れしさを混じらせた態度で話してくるサイトにアニエスが咎めるように言う。
「よいのですよ、アニエス。サイトさんはルイズの大切な人。私にとっても大切な恩人です。最も、公式の場で話す場合は、他の者たちの目もありますので、その際にわきまえてもらえば結構です」
そんなアニエスに、アンリエッタは構わないと言った。
「けど、よくこんなに早く来られましたね」
「ちょうどいいことに、ジュリオさんが竜よりも早く空を飛ぶ怪獣を使役していたので、急ぐことができました」
「ジュリオが…?」
サイトは少し目を細めた。あのきざ野郎が、空を飛ぶ怪獣を?確か、ジュリオはゴモラを使役していたが…まだ他にもいたのか。
「やぁサイト君。平気かい?大変だったね。まさかルイズの新しい婚約者が、異星人の擬態だったなんてね」
「…まぁな」
そのジュリオが、ちょうど医務室に入って爽やかフェイスをサイトに向けてきた。なんか相変わらず気に入らない笑顔だ、と思った。
「まったく無粋な星人だったね。僕だったらもっと巧妙に、相手の心を開かせるようなトークをするんだけど」
(本当にチャラい人…)
さらに妙に引っかかる物言い。ジュリオ自身が他者から懐疑的な視線を向けられているのを楽しんでいるようにも見えるくらいだ。ハルナも口に出しはしなかったものの、ジュリオの人柄はなんとなく受け付けられなかった。
しかし、ムサシはジュリオについては違うことについて気になった。
「君は…怪獣を使役することができるのか?」
「ええ。そういうあなたも、なかなか怪獣がお好きらしいですね。ここのメイドさんたちに聞いたら、お人柄も大変よろしいそうで」
「……」
「安心してください。僕はゴモラたちに恨まれるようなことはしません。怪獣も大切にしてるつもりでいるので。もちろん、そこにいる赤い怪獣さんをいじめる気もないよ」
「ピピィ…?」
そういってジュリオはピグモンに視線を向けると、ピグモンは意味が分からないとばかりに首をかしげた。
「そ…そっか。
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