4. トモダチと手をつないで 〜電〜
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「おはようなのです!」
集積地さんが寝ている医務室のドアの鍵を開け、私は勢い良くドアを開いて中に入った。
「……ん」
「集積地さんおはようなのです!」
集積地さんは……まだ寝ていた。昨晩の入渠で傷も癒え、身体の汚れもキレイにしてフルーツ牛乳を満足げに堪能した彼女は、実に気持ちよく就寝出来たようだ。
「集積地さーん。朝なのですー。朝ごはんの時間なのですー」
「んー……」
ベッドの布団にくるまれてもぞもぞと動く集積地さん。艤装を外した彼女の身体はとても細くて、私たちとほとんど変わらない体つきだった。鎮守府の寝間着も丈は足りてるのにぶかぶかという感じで、なぜか赤城さんがそれを知って若干ショックを受けていた。
「起きなきゃほっぺたつんつんするのですっ」
「んー……すればいいだろう……私は捕虜なんだからっ」
「だから捕虜じゃないと……」
昨日の話をまだ引きずっている彼女になんだか腹が立った。つんつんしてやろう。私はベッドに乗って、未だに布団の中でもぞもぞと眠っている集積地さんのほっぺたに対し、つんつん攻撃を敢行することにした。
「つんつん」
「んー……」
集積地さんは『そんなことをされても気にしないもんね』と言わんばかりに私のつんつん攻撃にまったく反応しない。だけど私にも意地がある。集積地さんが気にするまでつんつんしてやる。
「つんつん」
「ん……んー……」
「つんつん。つんつん」
「んー……むむ……むー……」
よし。集積地さんのほっぺたが少し赤くなってきた。もう少しだ。電、これよりつんつん攻撃からむにむに攻撃に移行するのです。集積地さんのほっぺたをつまんで左右に引っ張り、むにむにと揉みしだく。
「むにむに」
「んん……んむむむむ……ッ」
「むにーん。むにーん」
「……だあッ!!」
観念したようだ。集積地さんは鬼のような形相で上半身を持ち上げ、私をキッと睨んだ。ほっぺた赤いけど。
「おはようなのです!」
「私のほっぺたをつつくな! 揉むな伸ばすな引っ張るなッ!!」
「好きにしろと言ったのは集積地さんなのです」
「〜〜ッ!!」
顔を真っ赤にして頭をボリボリとかいている集積地さんだが、私は彼女に言われたとおり好きにしただけだ。素直に起きない彼女が悪い。
「集積地さん」
「……ん?」
「おはようなのです!」
「……おはよう」
朝の挨拶をしたあと、集積地さんは枕元のテーブルに手を伸ばし、ごそごそと動かしていた。まるでテーブルの上に置いてある見えない何かを手探りで探すように、時々手は空を掴んでいた。
「……そういえば……私のメガネはどうした?」
「昨日司令官さんが持っていったのです。朝に聞いたら、レンズを取り替えてくれ
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