4. トモダチと手をつないで 〜電〜
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友達になれたようでとてもうれしい。彼女は彼女で資材貯蔵庫に行けるうれしさを必死に隠しているのか、ほんのりほっぺたを赤くして、すこーしだけ口がニヤニヤと動いている。上機嫌な2人でお散歩。なんだか楽しい。
とことこと2人で歩き続け、ついに到着した。
「資材貯蔵庫なのです!」
「……!!」
もはやワクワクが抑えられない集積地さんと私の目の前にそびえ立つのは、4メートルぐらいの高さがあるであろう巨大な鉄の扉。この向こうには、この鎮守府の運営を充分に……とは言えないかもしれないけど……賄えるだけの資材がたんまりと貯蔵されている。
貯蔵庫の扉の鍵を開き、力を込めて重い扉を開く。
「おお……」
扉を開いた途端、中から漏れ出す貯蔵庫内のひんやりとした空気。集積地さんの顔が高揚している。
「これは……」
「集積地さんとの戦いのときに少し減ったのですけど、今でもまだまだたくさん貯め込んでるのです!」
集積地さんの耳に私の言葉が届いているかどうか怪しいレベルで、集積地さんの顔はぽうっと惚けていた。彼女の頭上に『ぽやー』というひらがなが見える。
「ぽや〜……」
前が見えない時とはまた違う足取りでフラフラと資材貯蔵庫の中に吸い込まれていった集積地さんは、震える右手で燃料が入ったタンクを撫で、左手で鋼材に愛おしそうに触れていた。
「よくこんなにたくさんの資材を……ぽや〜……」
「みんなのがんばりのおかげなのです!」
「いや、こんなにたくさんの資材に囲まれることなんてなかったから……ぽや〜……」
燃料タンクに恍惚の表情で頬ずりし始めている集積地さん。よかった。今日一番楽しそうな顔をしている。やはり連れてきて正解のようだ。
「はぁ〜……燃料、弾薬……」
「……」
「鋼材……ボーキ……こんなにたくさん……ぽやぁ〜……」
なんだか憧れのサッカー部の先輩と偶然出会った時の、一昔前の少女漫画の主人公みたいな反応をしている集積地さん。この前天龍さんに借りた少女漫画の主人公そっくりだ。主人公にとってのサッカー部のイケメンの先輩が、集積地さんにとっては資材というのがちょっと妙な感じだけど。資材に恋する女子中学生なんて聞いたことが無い。
まぁいいか。気が済むまでいてもらおう。司令官さんからは許可をもらってある。約束事さえ守れば特に問題はないはずだ。
「い、イナズマ」
「はい?」
「い、いつまでいていいのかな……?」
そんなにワクワクした顔でそんなことを聞かれたら、イタズラ心がむくむくと頭をもたげてくるが……
「次はどこ行くとか決めてないし司令官さんの許可はもらってるから、好きなだけいていいのです」
「ほ、ホントか?」
「はいなのです」
今日はイタズラな
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