4. トモダチと手をつないで 〜電〜
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り、手をつないでくれた。
「?」
「ああ、すまん。さっきまで手をつないでたからつい……」
「んーん。いいのです! よかったらこのまま手を繋いで行くのです!」
「それはかまわないが……」
少々困惑した様子の集積地さんを尻目に、私の心は少しぽかぽかとしていた。繋いだ左手から伝わる集積地さんの温かさが、私の心をあったかくしているんだ。勝手にそう思うことにした。
甘味処に到着したら、やや及び腰の間宮さんを尻目に二人でクリームあんみつを食べる。二人で手を繋いでてくてくと歩いてきて身体がほんのり熱くなってる私たちを、クリームあんみつに乗ったソフトクリームが優しく冷やしてくれた。
「集積地さん」
「ん?」
「美味しいのです?」
「うん」
こんな他愛無い会話に付き合ってくれるところを見ると、集積地さんはだいぶ私と打ち解けてくれたようだ。このまま仲良くなれるといいな。
「集積地さん」
「もぐもぐ……どうした?」
「どこか行ってみたいところはあるのです?」
「特にないな……もぐっ」
「ホントにないのです?」
「……うん」
「どこでもいいのです。なんなら街に出てもいいのです」
「いや、ちょっと疲れた。落ち着きたい」
なるほど。そういえば、昨日の夜から集積地さんにとっては慣れないことの連続だ。敵の本拠地にいきなり連れてこられ、私と手を繋いで引っ張りまわされて……確かに一晩ゆっくり休んでもらったが、集積地さんは少し疲れたのかも知れない。時間はたっぷりあるし、今日はこのまま休んでもらってもいいのかも。
「じゃあ今日はもう戻るのです?」
「戻るってどこへ?」
「司令官さんが宿舎に集積地さんの部屋を準備してくれてると思うのです。なんなら電の部屋でおやすみしてもいいのです」
「いや……」
んん? なんだろうこの集積地さんの様子は? 言いたいことがあるけれど、遠慮して言ってないみたいな、どうも歯切れの悪い返事に聞こえて仕方がない。集積地さんはちょっとうつむきがちでまごまごしながらクリームあんみつのぎゅうひを口に運んでいる。理由はよく分からないが、顔が真っ赤っ赤だ。
「ほんとはどこか行きたいところがあるのです?」
「……」
「遠慮しないで言っていいのです。行っちゃだめなところでも、司令官さんに内緒でこっそり連れてってあげるのです」
「……」
司令官さんごめんなさい。早速約束を破ってしまいそうなのです。でも集積地さんの言うことなら、できるだけ叶えてあげたい。
「……るところ」
「?」
「資材のあるところに……いきたい」
顔を真っ赤にしながらポツリとそうつぶやいた集積地さん。なんだかはじめて私に本音を言ってくれたような気がして、胸が温かくなった。
「わかったので
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