4. トモダチと手をつないで 〜電〜
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つっこい表情をして感動していることが、とてもおかしい。
「ん? どうかしたか?」
「な、なんでもないのです……ぷっ」
「あとな。お前のその格好だ」
「? 私のか?」
「ああ。正直、目のやり場に困る」
確かに今の集積地さんは無地のTシャツのような上着がなくなり、下着みたいなビキニ姿で鎮守府内をうろうろしている。確かに鎮守府は女の子が大半だから本人が気にしなければ大丈夫と言えば大丈夫だが、これでは司令官さんにとっては目の毒のはず。なのだが……
「司令官さん」
「ん?」
「本当にそう思ってるのです?」
「うん」
とりたてて何の感慨も湧いてないような、死んだ魚のような目でこっちを見ながら言われても、いまいち説得力にかける『目のやり場に困る』だけど。
「それでな。とりあえず鎮守府にいる間だけでも上着とボトムスだけでも身につけて欲しくてな」
「キラキラ……そうしたいのは山々だが、なんせ着るものがない」
「だからこっちでちょいと準備した。とりあえずそいつを着ていてくれ。大淀」
「はい」
司令官さんに促され、大淀さんが集積地さんに一組の上下の服を渡していた。こっちからはいまいちよく見えないが、なんだか緑色……抹茶色?
「集積地棲姫さん、これを」
「これは?」
「人間の世界での部屋着の定番とでもいいましょうか」
「ありがとう。ではさっそく着させてもらう」
大淀さんから受け取った服とを広げ、その上着を羽織り、ズボンに足を通していた。これは……
「ふむ……」
「なんか……板についてるな」
「そうか?」
「お前……それよく着てるの?」
「いや、はじめてだが……」
大淀さんが集積地さんに渡した服。それは、抹茶みたいな色をした上下お揃いのジャージだった。
「し、集積地さん」
「ん?」
「よ、よく似合ってるのです……と、思うのです……」
「そ、そうか……」
私には理由が分からない。それは司令官さんや大淀さんも同じらしく、ジャージを着た集積地さんの姿を見て二人とも困惑した表情を浮かべていた。それほどまでに集積地さんにジャージはよく似合っていた。でも。
「で、でも……」
「似合ってるってより……」
「?」
「着慣れてるって感じ……だな……」
「な、なのです……」
不思議と似合ってるイコールかわいいでもなければ、似合ってるイコール綺麗……そんなポジティブな意味での『似合っている』ではない。あくまで『板についている』『普段から着慣れてる』そんな感じだ。
「……」
「……」
「……ぷっ」
「誰だ今笑ったの」
ダメだ。気をつけないと集積地さんが視界に入っただけで笑いがこみ上げてくる。なんとか我慢しないと……。
「まぁ着慣れてるなら
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