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テキはトモダチ
4. トモダチと手をつないで 〜電〜
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了解したー。とりあえず入ってくれー』
「了解したのです。電と集積地さん、入室するのです」
 ドアノブに手を駆けた途端、ヒビから『ピシッ』という音が聞こえた。

――フフ……怖いか?

 なぜか頭の中に天龍さんのスゴミが思い浮かんだが、きっと気のせいだ。そう思おう。

「どうした?」
「な、なんでもないのです」

 ドアが壊れてしまわないよう、慎重にドアを開く。ドアの向こうでは、いつもの通り大淀さんが忙しそうに書類をチェックしており、その隣では司令官さんが死んだ魚の眼差しでぼーっとこちらを見ていた。司令官さんには秘密だが、朝から司令官さんの顔を見てるとやる気がどんどん吸い取られていく気がしてならない。こちらも元気を振り絞らないと。

「司令官さんおはようなのです」
「ほいおはよう。集積地も」
「ああ、おはよう」
「昨晩はよく眠れたか?」
「ああ。おかげさまで風邪はひかずに済んだ」
「風邪?」
「な、なんでもないのです!」
「?」

 司令官さんは珍しく頭にはてなマークを浮かべ、集積地さんはこちらを見ながらニヤリと笑っていた。こんな時に昨日のリベンジをしでかすだなんて卑怯だ。

「まぁ風邪の件は置いておいて……連れてきてくれてよかった。集積地棲姫のメガネ、預かってたろ?」
「私の了承は得て欲しかったがな」
「まぁそういいなさんな。レンズ交換終わったよ。度数は変更してないからつけ心地も変わらないはずだ」

 司令官さんはそういい、テーブルの引き出しを開いて中から集積地さんのメガネを取り出した。ひび割れていたレンズは新品のものに交換され、透き通ったレンズがとても綺麗だ。そのまま司令官さんはメガネのレンズを触らないよう注意しながら席を立ち、集積地さんに手渡していた。

「……ありがとう。恩に着る」
「どういたしまして。近眼の奴はメガネかコンタクトがないと生活出来ないからな」

 受け取ったメガネを早速かけてみた集積地さんは、急に目をぱっちりと見開き、瞳をキラキラと輝かせた。これが近眼の人がメガネをかけた瞬間の顔なのか。

「度数はどうだ?」
「大丈夫だ……うわぁ〜……視界が明るくなった。やっぱり新品のレンズは違うな〜」
「度数は変わらんけど、細かいキズや曇りが無くなったからな。その分見え方もくっきりしたんだろう」
「うん。ありがとう。前が見えなくて苦労していたが、これでもう大丈夫だ」

 本人はなんとか自分を抑えてクールを装っているのかも知れない。だがそれでも。

「キラキラ……」
「ぷっ……」

 明らかに水色の目がキラキラと輝き、世界の美しさに感動している様子の集積地さんを見て、私と大淀さんは笑いをこらえることが出来なかった。昨日はあんなに勇ましく戦ってた人が今はこんなに人な
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