4. トモダチと手をつないで 〜電〜
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かげだ。手をつなぎ、一緒に食堂に行く。
「おはようございます」
食堂には朝ごはんを作ってくれる鳳翔さんだけがいた。他のみんなはすでに朝ごはんを食べ終わった後らしい。
「お前は……」
「ええ。昨日は戦場でお会いしましたね。鳳翔です」
「お前が食事を作ってくれるのか」
「そうですよ。電さんと一緒に、席について待っていてください」
裏の厨房に引っ込んだ鳳翔さんを見送った後、私と集積地さんは窓際の席に差し向かいに座った。そうしてしばらく待った後、
「おまたせしました〜」
と鳳翔さんが私たちの朝ごはんをお盆に乗せて持ってきてくれた。
「今日も美味しそうなのです!」
「ふふ……ありがとうございます」
今日の朝ごはんの献立はご飯とお豆腐のお味噌汁、焼き鮭と玉子焼き。お味噌汁の香りが私の鼻をくすぐって、空腹を刺激してきた。
「……毒は入ってないだろうな?」
集積地さんは、まだ私たちへの警戒が解けてないようだ。こんなに美味しそうな鳳翔さんのご飯を前にこんな失礼なことを言っていた。彼女は俯いているから表情がよく見えないけど、今の一言が鳳翔さんに対して失礼であることに変わりはない。
「そんなこと言っちゃダメなのですっ!」
「大丈夫ですよ電さん」
とても失礼なことを言われたにも関わらず、鳳翔さんはくすくすと笑いながら私にそう言ってくれた。手に持ったお盆で口を隠し、とても静かに、でも面白そうにクスクス笑っているのが気になるけれど。
「鳳翔さんごめんなさいなのです」
「失礼だなんて思ってないですから」
「でも……」
「だって……」
大声で笑いそうになるのを必死にこらえているようにも見える鳳翔さんは、ぷるぷると震える右手で集積地さんを指差した。そこには……
「ぅぅぅぅぁぁぁぁ」
「こんな顔で言われても、むしろ面白いだけですから」
だらしなく口を開いてそこから滝のようにヨダレを垂らしながら、うつろな眼差しで鳳翔さんの朝ごはんをジッと見つめる集積地さんの姿があった。
「集積地さん、おなかすいてたのです?」
「ぅぅぅぅぅぅぅ……」
「じゃあごゆっくり。私はまだ奥にいますから、おかわりが欲しかったら言ってくださいね」
ぷぷぷと吹き出しながら、鳳翔さんはしずしずと厨房に消えていった。後に残されたのは、ヨダレを盛大に垂らしながら鳳翔さんの朝ごはんを見つめる集積地さんと私の二人。
「……た、食べていいか?」
「じゃあ食べるのです」
「「いただきます!!」」
二人でタイミングよくパシンと手を合わせたあと、集積地さんはお味噌汁に手を伸ばし、ずずっとすすった後、
「……ほっ」
とほっぺたを赤くして一息ついていた。
「おいしい
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