4. トモダチと手をつないで 〜電〜
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一晩過ごすのは絶対に許さん。女子会でお泊りなら他でやりなさい」
「よ、よく分からんが……分かったっ」
自身の知らないところで禁止事項に挙げられていることを知ったら、赤城さんはどう思うだろうか……心の中で赤城さんに謝っておいた。赤城さんごめんなさい。
「し、しかし……ホントにいいのか? ほ、本気にするぞ?」
「仕方ないでしょうよ……それに、お前さんのことを興味津々で常に観察してるやつもいるしな」
司令官さんのその言葉を聞き、私はなぜか自然と天井を眺めていた。心持ち、天井が冷や汗をかいているように見えた。
――……。
「まさか……また青葉さんなのです?」
「? アオバ?」
「まぁそんなわけで、悪さは出来ん。大丈夫でしょ。知らんけど」
「よかった! ありがとう!」
「礼なら電に言いなさいよ。お前さんの命の恩人な上、わがままを聞いてくれる貴重な存在なんだから」
「ありがとうイナズマッ! キラキラ……」
「ど、どういたしましてなのです」
集積地さんはそういい、私に100万ドルの笑顔を向けながら握手してくれた。今日だけでもう何回も集積地さんと手を繋いだはずなのだが……なぜだろう、今こうやって私の手を取って嬉しそうに上下にぶんぶんと振られていると、とても腑に落ちない気分になる。人と握手してこんな気分になったのははじめてだ。
「電」
「はいなのです?」
「気持ちはわかるぞ」
「ありがとうなのです……」
「どうかしたのか?」
こうしてその日のうちに資材貯蔵庫に美品を移した集積地さんは、この鎮守府の資材貯蔵庫の主として当面の間君臨することとなった。資材貯蔵庫に行けば集積地さんがいる……はじめこそ鎮守府の皆は戸惑っていたが、結果的にそれによってみんなと集積地さんの面識が増え、集積地さんは艦娘みんなと少しずつ打ち解け、鎮守府に馴染んでいくことになった。
はじめこそ、私も司令官さんも前代未聞の事態に……というか集積地さんのこのわがままに頭を抱えたわけなのだが……
「イナズマ!」
「はいなのです?」
「お前には感謝している! 私のはじめての艦娘の友達だ!」
「ど、どういたしまして……なのです……」
集積地さんのこのわがままによって、後に、新しい友達とちょっとした恩恵をこの鎮守府にもたらすことになるなんて、予想だにしてなかった。そのキッカケはこの数日後。鎮守府に2人のお客さんが来たことだった。
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