4. トモダチと手をつないで 〜電〜
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司令官さんの代わりに、集積地さんが私の疑問に答えてくれた。
「ここにいる間、資材貯蔵庫を宿舎として利用させてもらおうと思ってな!」
「ほわっつ?」
ちょっと待ってほしいのです。集積地さんが言っている言葉の意味がわからないのです。
「だからこの鎮守府にいる間、私は資材貯蔵庫で寝泊まりさせてもらおうと思っている!」
「……だそうだ」
「集積地さんの言っていることがいまいち理解出来ないのは、電が悪いのです?」
「いや、電は悪くない。誰も悪くない。強いて言えば集積地棲姫がおかしい」
「おかしくないっ!」
ああよかった。司令官さんからのフォローにこんなにホッと胸をなでおろす日が来るとは思わなかった。
しかし司令官さんが困惑する気持ちもわかる。司令官さんや私は今日だけのつもりで『好きなだけいてもいい』といったつもりだったのに。それを集積地さんは『ずっといてもいい』と勘違いしたようだ。そんな風に勘違いするだなんて司令官さんも私も思うわけがない。今回はさすがに司令官さんも頭を悩ませているらしく『うーん……』と唸ったまま頭を抱えている。こんな司令官さんの姿を見るのは初めてだ。希少価値が高い姿を見られたのはいいかもしれないけど……
「イナズマの言葉はウソだったのかっ!?」
「いや、そういう意味ではないのです……」
声を荒げる集積地さんは、引く気配がまったくない。困った。『今日一日だけなら……』と付け加えておけばこんなことには……いやいや普通は『今日一日だけ』ってのはわざわざ付け加えなくても分かるはずだろう。まさか貯蔵庫に寝泊まりしたいと言い出すだなんて、それこそ予言者や占い師じゃなければわかりっこない……そんな葛藤で私が苦しんでいたら。
「まぁ……いいかー」
と観念したかのような司令官さんのポツリとした一言が執務室の中に響いた。この言葉を、集積地さんが聞き逃すはずがない。
「いいのかッ!?」
「仕方ないでしょー……お前さん、引くつもりないでしょ?」
「うんっ」
納得というよりは諦めの境地に達したかのような司令官さんの問いかけに、集積地さんはコンマ1秒もかからず首を縦にブンブン振って即答していた。今だけは……なんだか今だけは司令官さんに同情する。普段は無責任な返事が多いけれど。
「一応部屋は準備しておいたんだけど……晩御飯が終わったら、生活必需品を資材貯蔵庫に移動させて。今晩からそっちで寝ていいよ」
「ホントか!? い、いいんだな!?」
「電、集積地棲姫の手伝いを頼む」
「はいなのです」
「な、何か条件はあるのか? ワクワク……」
「……わかってるとは思うけど、ちょろまかしは厳禁。あとこれはおいおい分かると思うが、艦隊のメンバーに赤城というやつがいる。そいつと資材貯蔵庫で
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