4. トモダチと手をつないで 〜電〜
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ら散々したし、今回はやめておこう。こう言っては何だけど、集積地さんをいじるのは今日じゃなくてもいい。なにより。
「んふふー……たまらんなぁー……」
「……」
「ひんやりとした鋼材の冷たさ……タンクの中で自分が燃え上がる瞬間を今か今かと待ちわびる燃料……んふふー……」
こんなに嬉しそうな顔で資材とスキンシップをしている彼女を見ていると、邪魔するのもなんだか忍びない。今日はもう、とにかく好きなだけここにいてもらおう。そう思い、私はとことん集積地さんに付き合って、ずっと資材貯蔵庫にいた。
私は、『今日はずっとここにいてかまわない』という意味で『好きなだけいてもいい』と言った。しかし、それは彼女には別の意味に伝わったようだ。それが判明したのは、夜のことだった。
ちょうど晩ご飯の時間になった頃。私はお腹が空いたので、貯蔵庫に集積地さんを残して食堂に向かった。なんなら集積地さんのご飯も貯蔵庫に運んであげて、貯蔵庫で晩ご飯を食べようか。そんなことを考えながら、私は食堂に向かっていたその時。
『あー……あー……電、大至急執務室に来い』
司令官さんの声で呼び出しが入った。参った。晩ご飯を集積地さんに届けなきゃいけないのに。でも仕方ない。遅れるのは大目に見てもらうとして、晩ご飯を確保する前に執務室に向かうことにする。
ヒビが入ったドアを慎重にノックする。言うほど酷いヒビではないのだが、あからさまに損傷している物をノックするのは、やはり少々気を使う。
「とんとん。司令官さん、電なのですー」
「おー、入ってくれー」
幾分真剣味が感じられる司令官さんの返答に若干の違和感を覚えながら、ドアを慎重に開く。頭の中に響く天龍さんの『フフ……怖いか?』という問に対し『こわいのですー』と適当に返事をしながら執務室に入ったとき、私の視界に集積地さんの後ろ姿が入っていた。
「ぁあ、集積地さん、資材貯蔵庫はもういいのです?」
「電、お前さ。集積地に何て言った?」
司令官さんが妙なことを私に聞いてきた。なんだか質問の意味が分からない。
「イナズマ! お前は言ったはずだ!」
「んん? 何をです?」
「資材貯蔵庫に好きなだけいてもいいと言ったはずだ!!」
ああそういえば確かに。『いつまでここにいていいのか』と集積地さんに聞かれたので、私は『好きなだけいてもいい』と答えたんだった。
「確かに言ったのです」
「まじかー……」
「ほら見ろ! アイツの許可は得ているんだ私は!!」
「? ?? なんだか意味がわからないのです」
「えーとな……今、集積地棲姫から要望があったんだが……」
「何か問題でもあったのです? 資材よこせとか?」
今まで見たことない様な困った顔でボリボリと頭を掻いている
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