4. トモダチと手をつないで 〜電〜
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てるらしいのです」
「つくづくお人好しな奴らだ……」
その後、ぼそっと『着替える』と口ずさんだ集積地さんは、昨日も着ていたビキニのような服に着替えていた。これが彼女の普段着なのだろうか。
「う……」
「どうした?」
「いや、あの……キワドイと思うのです」
「何が?」
「えーと……その服」
考えてみれば、昨日は体中に包帯を巻いていたから目立たなかったけれど……この人のこの服装、なんて露出の多い服なんだろう……
「……ああ、いつもの服はお前たちとの戦いでボロボロになったしな。仕方ない」
「うう……ごめんなさいなのです……」
「いや別に構わんが……」
しかも体の線も細くてキレイで……これを見た暁ちゃんはきっと『こ、これが一人前のれでぃー……!』と羨ましがるに違いない。これぞまごうことなき一人前のレディー。
「と、とりあえず顔を洗って朝ごはん食べに行くのです」
「? ??」
集積地さんと一緒に医務室を出る。ドアを開けると朝日が眩しい。寝起きのためなのか、集積地さんの足取りはフラフラと危うい。気を抜いていると壁にぶつかりそうになって、非常に危なっかしい。
「洗面所はこっちなのです」
「ちょ……ちょっと待て……」
「?」
「今の私はメガネがない。前が見えないから歩きづらい……」
ああなるほど。だからフラフラとしていたのか。よく見たら集積地さんは、目が悪い人特有の、とっても悪い人相をしている。近眼で見えないから目を細めるのだが、そのせいで眉間にしわが寄っている。綺麗な顔が台無しだが、これはこれでなんだか面白い。
「ぷっ……」
「なんだ?」
「なんでもないのです……ぷっ」
「笑うなッ!!」
でも困った。これでは彼女の案内が出来ない。彼女の自由は司令官さんに許可はもらっている。鎮守府の案内はメガネの修理が完了してからでも構わないが、洗面所への案内はどうしよう。
……あ、そうだ。
「じゃあ集積地さん、今日も電と手をつなぐのです」
「?」
「集積地さんは前が見えないから案内出来ないのです。だから昨日みたいに電と手をつなぐのです」
「う……わ、わかった……」
集積地さんはなぜか顔を真っ赤にしながら、しずしずと私に左手を差し出してきた。昨日見た彼女の左手は傷だらけだったが、入渠して傷を癒やした今の手はとても綺麗だ。私はその手を取った。
「じゃあ行くのです」
「う……よ、よろしく頼む……」
「はいなのです」
艤装をつけていない集積地さんの手は、とても温かかった。
洗面所で一緒に顔を洗った後は、食堂で朝ごはんだ。いつもの朝ごはんの時間に比べると1時間ほど遅い。これは司令官さんの『他の艦娘はいない方がいいだろう』という粋な計らいのお
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