暁 〜小説投稿サイト〜
テキはトモダチ
3.捕虜じゃないよ 〜電〜
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開いた。

「正直に答えてほしい。これはお前の命に関わる」
「だから拷問をしても何も知らんと……」
「いや機密がどうちゃらって話じゃない」
「?」
「お前らはさ、傷の治療はどうしてんの?」
「……なんだと?」
「いやさ。なんせ俺達って深海棲艦の治療なんて初めてだからさ。正直今やってる治療が効果があるのかさっぱり分からんのだわ」

 司令官さんがいつものペースになりはじめた。確かに司令官さんの言うとおり、今彼女にほどこしている治療法が効果があるかはわからない。彼女の目が覚めたのなら、直接彼女に確認してみた方がいいだろう。早く彼女の傷も治してあげたいし。

「……機密ではないが、話す理由もないっ」
「そこんところをなんとか頼むよ〜……ここまで連れてきてさ。治療出来なかったら気持ち悪いじゃない。ね?」

 ぷいっとそっぽを向いて私たちから顔を背けた集積地棲姫に対し、司令官さんは困った顔を浮かべていた。司令官さんの表情は明らかに困った人が浮かべるそれだが、最近はそれすら無責任な演技なのではないだろうか……と疑い始めている私は悪い子なのだろうか……司令官さんのことを知れば知るほど、彼の困り顔はとてもウソっぽい。

「お願いだから教えてよー……お前を助けさせてよー……むしろ俺たちを助けてよ……」
「……いつもは入渠といって、40度前後まで温めた特殊な薬液に身体を浸して疲れと傷を癒やしている。そうすれば、よほどひどい傷でなければ治る」
「ありがと。んで、今の傷具合でその治療を行えば完治はしそうか?」
「多分。この程度なら問題ないはずだ」

 集積地棲姫はまだ司令官さんのことをよく知らない。故に、司令官さんの嘘くささにはまだ鈍感だ。困り果てた顔の司令官さんの追求をかわしきれなくなったのだろうか。集積地棲姫は案外と素直に自身の治療方法を白状した。

 うん。この人はきっといい人だ。でなければ、司令官さんの困り顔にこんなにあっさりと白旗を上げたりはしないだろう。

「ほーん……ならうちの入渠施設と高速修復剤が役に立つかもな」
「……ここにもあるのか」
「うん。というわけであとで入渠しちゃおっか。高速修復剤も使おう」
「お前と共にか? やはり私は慰みものか」

 はわわわわわわわ。司令官さんは集積地棲姫と……集積地さんと一緒にお風呂にはいるつもりなのか……

「んなわけないでしょうが……」

 ほっ……安心した。

「電」
「はいなのです」
「お前さんもまだ入渠してないだろ?」
「……ッ!」

 確かに私は入渠せずにそのまま集積地さんに付き添っていたけれど、なんでそんなことまで司令官さんはお見通しなのか。破れた服は着替えたし、汚れだって見えるところは綺麗に拭きとったはずなのに。

「電も集積地
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