2.死んだ魚の眼差しの提督 〜赤城〜
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おう! 俺も行くぞ提督!!」
「天龍はダメだ。今のお前が医務室に行ったら、重症のお客さんの頭を後ろからフライパンでぶん殴りかねん」
「ンなことすっかバカ!」
「赤城、天龍は対空演習の相手を探しているそうだ。稽古をつけてやれ」
「なッ……」
「喜べ天龍。一航戦が対空演習に付き合ってくれるなんてそうそうないからな。鳳翔さんにも俺から対空演習を頼んでおいてやる。赤城と鳳翔さん2人の航空爆撃を相手に演習できるだなんて、いやぁー天龍は職場環境に恵まれてるなぁ〜」
「で、でももう夜だぜ!?」
「照明つければいいじゃない。そのためにわざわざ演習場に照明がついてるんだし。いやぁ〜。夜でも演習に付き合ってくれる仲間がいるだなんて、天龍の職場環境はサイコーだなぁ〜」
提督の言葉を聞き、さっきまで威勢のよかった天龍さんの顔から血の気が引いた。どうやら彼女は提督の対空演習命令を本気にしているようだ。これが体のいい人払いであることに彼女は気づいていない。その証拠に身体が小刻みに震えている。私との対空演習がそんなに恐ろしいのか……確かに過去、彼女を実戦演習でボコボコにしてしまったことはあるが……。
「あ、姐さん……」
「どうしました?」
「お、お手柔らかに頼むぜ……ガクガクブルブル……」
恐怖で顔を引きつらせてはいるが、やる気そのものはあるらしい。ならば彼女の対空演習に付きあおうか。練度が上がること自体は決して悪いことではないことだし。
「そんな感じだ。頼むよ赤城」
「人の心を読まないでくださいよ……」
最後に力なくダランと手を上げた提督は、そのままドアを開き執務室を後にした。ドアは先程の天龍さんの強烈なノックで多少ヒビが入っており、それを見つけた提督は天龍にジトッとした眼差しを向けた後、何も言わずに部屋を出て行った。
空席になった提督の机の隣では、大淀さんが変わらない表情で書類に目を通していた。
「大淀さん」
「はい?」
彼女は電さんと同じく、任務娘としてこの鎮守府の設立当時から提督とともにいる一人だ。初期艦の電さんは出撃することもあるので、ある意味では電さんよりも提督との付き合いは長いといえる。
「提督は着任当初からずっとあんな調子なんですか?」
「そうですね。ずっとあんな感じですよ」
「あんな本心の読めない人とずっと一緒にいて大変ですね」
ついポロッと本音が出てしまいハッとした。だが大淀さんはそんな私を見てクスクスと笑っている。どうやら大淀さんも提督に対して同じ感想を抱いていたようでホッとした。
「し、失礼しました……」
「いいですよ。確かに中々本心が見え辛い人ですよね。言ってることも冗談なのか本気なのかよく分からないし」
「ですよね!? あの人、ホントに何を考えてるのかわ
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