1.標的は陸上型 〜電〜
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「なのです!」
私は敵の集積地棲姫に対し、最後の砲撃を行った。私の主砲では相手の装甲を撃ちぬくことは難しい。それこそ、同行した青葉さんが持つ三式弾でなくては有効打を与えることは不可能に近いことは分かっている。
これで集積地棲姫とは何度目の戦いになるだろう。今回、私たちの鎮守府は初めて合同作戦に参加した。私たちの鎮守府は設立されてまだ間もない。戦艦のいない打撃力不足の鎮守府に任され私たちに与えられた任務は、資材を蓄え続ける陸上型深海棲艦、集積地棲姫の調査と撃退だった。
そしてその任務に対し、司令官さんは私を旗艦として天龍さん、球磨さん、青葉さん、鳳翔さん、そして赤城さんの六人で艦隊を組み、そして任務に望んだ。
「ヤメロぉ……ヤメロヨォオ!!」
私の最後の主砲が集積地棲姫をかすめ、代わりに周囲の資材を焼いた。集積地棲姫がこの地に資材を集める理由は分からない。だが彼女を無力化することが出来れば……彼女が集めた資材にダメージを与えることが出来れば、それは深海棲艦の作戦にダメージを与えることにつながる。
もっとも、本当は戦いたくなんかないけれど……たとえ深海棲艦といえども、命を奪いたくはないけれど。
「よっしゃ電よくやった! あとは頼んだぜ赤城の姐さん!!」
天龍さんがそう叫んだ。設備や装備の乏しい私たちは陸上型深海棲艦に対して有効な攻撃力を持たず、何度も何度も繰り返し出撃して相手にダメージを蓄積させることしか出来なかった。そして今回、敵である集積地棲姫に蓄積させつづけたダメージがついに限界を迎えつつあるようだった。集積地棲姫は、今まさに崩れ落ちようとしていた。
「最後の艦爆隊、発艦します!!」
赤城さんが艦爆の矢を構え、正確に集積地棲姫を狙っていた。たとえそれが陸上型深海棲艦に対する有効打になり得ない艦爆隊といえども、今の疲弊しきった集積地棲姫に対しては決定打となりうるであろうことは想像に難しくない。私達が見てそれが分かるほどに、集積地棲姫は疲弊しきっていた。
「帰れよぉ……もう帰れよぉ……!!」
苦しそうな表情で……それでも私たちに対する敵意だけはさっきまで以上に増幅させた眼差しを私達に向けながら、集積地棲姫は必死に燃え盛る資材の前に立ち、私達に立ちはだかっていた。自身が苦労して収集した資材を守りたいがゆえの行動なのだろうが、赤城さんからしてみればそれはただの的。赤城さんに対して撃沈してくださいと懇願していることと同じだった。
「赤城さん……」
「……」
「あの……」
赤城さんが引き絞った矢を放ち、艦爆隊を発艦させた。妖精さんたちによって操縦された数機の艦載機たちが、集積地棲姫に向かって飛んでいった。集積地棲姫の頭上高く舞い上がった艦爆隊たちは次の瞬間急降下を
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