1.標的は陸上型 〜電〜
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ばしても、周囲に深海棲艦の姿はなかった。つまり、この海域周辺には、あの集積地棲姫の仲間は誰もいないということになる。
「……」
「……電さん?」
「……」
「……どうしました?」
小指の指先に刺さった小さいトゲのように、私はある人が気になっていた。今しがた私たちと激戦を繰り広げたその人は、周囲には味方が誰もおらず、たった一人で救援を待たなければならない。その救援もいつ来てくれるか分からない。いつ自分が死ぬのか分からない状況で、たった一人で、この大海原のどまんなかの小島で、一人でポツンと佇まなければならない。
「あの……みなさん!」
「はい?」
「あン?」
「クマ?」
「電さんどうしました?」
私は主機を止めて、その場に停止した。その様子を見て赤城さんも足を止め、続いて鳳翔さん、球磨さん、青葉さん、天龍さんも足を止めた。正直、みんなに何を言われるかわからなくて怖い。怖いけど……
「えと……えと……」
「どうしたクマ?」
「みなさん、ちょっと聞いて欲しいのです」
でも彼女が気になって仕方がない。敵だけど……彼女は私たちと人類の敵で、今回の作戦目標だけど……小指に刺さった小さなトゲのように、ほんの少しだけ私の心に刺さって、私の心をざわつかせ続けていた。
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