第50話
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槍が空を切った。何が起きたのか理解出来ない李典の目に映ったのは。
踏み込んで縮まったはずの間合いが、開いていたことだった。
華雄は間合いを完全に見切り、後ろに退いていた。油断していればとれない行動だ。
視界を遮った石の類も、螺旋槍による突きも、横に動けば簡単に回避できたはずだ。
そう考えると、そう動くと想定して李典は横薙ぎで仕掛けたのに――
「悪くなかった……が」
「――ッ」
その一言で、李典は全て察した。華雄に油断や慢心は無かったのだ――と。
むしろ、華雄をその程度の武人と過小評価したのは自分の方だ――と。
全ては華雄の演技だった。格下の人間が強者に挑む場合、無意識に相手の油断を期待する。
その心理を逆手にとり、油断していると見せかけ後の先を取る戦法だ。
実は言うと、この戦法は張遼との模擬戦で使われ、煮え湯を飲まされたものだったりする。
大会で破れ、修行の山篭りから一時帰省し、腕試しに張遼に挑んだ時だ。
彼女は構えもせず、悠々と間合いを詰めてきた。華雄はその慢心を侮辱ととり、性根を正そうと無警戒に仕掛けてしまった。
気が着いた時には自分の首元に、張遼の得物が宛がわれていた。
目からうろこが落ちる思いだった。こういう戦い方もあるのか――と。
華雄はその苦い敗戦を糧に、張遼の戦法を己のモノにした。
恋に破れ、陽国の傘下に降った後も、猛将華雄の成長は留まる事を知らない!
「終わりだ」
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