第50話
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ください。それから、敵に当たる時は常に五人一組の隊を。
隊が欠け、補充も利かない場合は下がらせ、二人以下で戦線に留まっている者達を討って下さい」
「ハッ!」
指示を受けて兵士が出て行くのを確認し、華琳が口を開く。
「悪くない方法だけど、同士討ちは発生するわね」
「はい、全ては救えません」
「それならいっその事、被害を最小限に……か。仕方ないとは言え、頭にくるわ」
「同感です」
「敵の狙いは我が軍を疲弊させること……では無いわね」
「はい、おそらく――」
「見つけたぞ、投石機だ」
華琳達に知らせが届くのと同じ頃。華雄とその手勢十人は、魏軍の郡中にあった投石機を発見した。
魏軍に攻撃を仕掛けた者達は囮。遅かれ早かればれてしまうなら、いっそのこと現場を混乱させれば良い。そのほうが、本命である華雄達も動きやすい。
無論、攻撃を仕掛けることで、敵の首脳陣が対応に出ることも想定済み。
要は混乱に乗じ、本格的に対応される前に投石機を見つけ出して破壊、脱出するという算段だ。
「し、しかし、あの膨大な天幕数から、良く投石機がある場所を探せ出せましたね」
「それも、武人の勘ですかい?」
「まさか」
一見、博打にしか見えない方法だったが、そこには華雄なりの理があった。
魏軍は明日の激戦に備えるため、少しでも身体を休めなくてはならない。
膨大な天幕の内、一般兵達の天幕は既に明かりが無く寝入っている。
明かりが確認できるのは、明日に備え策を練っている首脳陣と、万が一に備えて動くことが出る兵士達、そして投石機だけだ。
この悪天候と暗闇の中、陽軍の夜襲がある可能性は限りなく低い。
しかし、ゼロではないとすれば、魏軍はソレを想定した対策を強いられる。
「万が一に備え、投石機をすぐにでも動かせる準備をしているはずだ。
それこそ、明かりを絶やす事無く……な」
「な、なるほど。だから殆どの天幕を無視して――」
「いや姉さん。明かりがついている天幕も相当ありましたぜ」
「どうやって投石機の有無を見極めたのです?」
「……他はしっかり設置してあったのに対し、この天幕だけは歪だ。
まるで、すぐにでも天幕を取り払うためのように」
「! 敵襲の知らせで、すぐさま使用するために!?」
「そう言うことだ」
『……』
兵達の尊敬の眼差しを受けながら、華雄は投石機がある天幕内へと足を踏み入れる。
彼女を脳筋として認識している者達からすれば、驚愕すること請け合いの推察だが。
なんてことはない、ただ今まで通り“相手の立場”で考えただけだ。
戦力差は圧倒的、一度主権
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