最大の好機
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シリルside
「カグラさんが出てきたか」
ウェンディたちが見事なコンビネーションでリオンさんを押していたため、このままいけるかと思った矢先相手は動いてきた。プレイヤーのカグラさんを前線に上げない理由が何かあると思っていたけど、ここで出てきたということは大した問題ではなかったんだろうな。
「俺も行こうか?」
「大丈夫!!尻・・・シリルは下がってて」
一瞬殺意が湧いてきたような気がしたけど、必死に心を落ち着けようと深呼吸する。
「相手は二人になったけど、大丈夫だよね?」
「もちろんだよ!!シェリア」
「ソフィアたちに任せなよ」
互いに目配りをして意志の確認をし合う三人の少女たち。相手は一人増えたと言ってもまだ人数的にはこちらが優勢。それも、向こうはプレイヤーが前線に上がっているだけに気が抜けないはず。こっちはまだ俺が体力を温存できているし、なんか勝てそうな気がするぞ!!
「流れを変えないとな」
「あぁ」
抜刀していた刀をこちらに向け、目付きを鋭くさせる女性剣士。彼女に並ぶ氷の造形魔導士もさっきまでよりも真剣な表情でこちらを見据えている。
「先手必勝!!」
最初に動き出したのはなんと返し魔法を得意とする銀髪の人魚。まさか彼女が最初に動くとは思っていなかっただけに驚きを隠せない。
「お前が最初に動いてくるのか」
それに対抗して動き出したのは彼女と同じギルドの女性ではなく、我が蛇姫の鱗のエース。
「リオンさんなんか軽く捻っちゃうもんね!!」
「やれるものならやってみろ」
売り言葉に買い言葉。ソフィアの挑発を受けたリオンさんは彼女を倒すべく、走りながら両手を合わせて魔法の体勢へと入る。
「アイスメイク・・・」
近付けば近づくほどソフィアの方が不利になるはずなのに、なぜか足を緩めることなく、むしろ加速していくかのような少女。
「なんて・・・」
そしてリオンさんの造形が繰り出されようとした瞬間、
「ウッソ〜!!」
ソフィアは滑り込むようにして彼の股下をすり抜けていった。
「なっ・・・」
自分に戦いを挑んでいたと思っていた相手にスカされた彼は急ブレーキをかけて立ち止まる。背中から滑ったソフィアはその勢いを利用して立ち上がると、剣を構えるプレイヤーへと突進していく。
「へへ、始めから狙いはカグラさん一拓だよぉ」
振り向くことなどせずにリオンさんをバカにしたようなトーンで言葉を発するソフィアに、振り向いた青年は奥歯を噛み締めている。
「やらせ――――」
プレイヤーに近づけさせるものかと再び魔法の体勢へと移行する氷の魔導士。だが・・・
「天神の・・・」
「天竜の・・・」
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